8月末はさまざまな法令や政策が相次いで出てきましたので、一度に全てご紹介することができないのですが、法律の制定・改正の件だけご紹介しておきます。
①《会社法》改正草案(三次審議稿)の意見募集
8月末にも成立するかと見込んでいた《会社法》改正ですが、すんなり成立とはいかず、3回目の意見募集が行われることになりました。
意見募集期間は9月1日から9月30日となっています。
内容についてはまだ詳しく見ていませんので、おって改めて別の機会にご紹介できればと思います。
②《民事訴訟法》改正
《民事訴訟法》が改正されました。2024年1月1日施行となります。
日系企業との関係では、国際裁判管轄に関する規定が拡充されている点が重要と思います。
当事者が管轄異議を出さず、答弁又は反訴をしたときは、中国の人民法院が管轄を有するとみなされることや、同一の紛争について一方当事者が外国、他方当事者が中国国内、それぞれ訴えを提起した場合、特に外国の裁判所を専属管轄裁判所とする合意がなければ受理してよいとすることなどの規定が追加されました。
また、外国当事者がかかわる場合の送達や外国判決の承認執行に関する規定も改正されているようです。
③《外国国家適用除外法》(外国国家豁免法)成立
《対外関係法》が先だって成立したとおり、中国は渉外法治の面についての法律の整備を進めています。
今回は《外国国家免除法》という法律が新たに公布・施行されました。これも2024年1月1日施行です。
外国国家やその財産に関する民事事件の司法手続について全面的・系統立てて規定して、国内法治と渉外法治を統合的に進めるとのことです。
外国国家が行う商業活動で、中国国内で行われるか中国国内に直接影響するもの(金銭の貸借を含む)については、外国国家に対する管轄免除の対象にはならない、つまり中国の司法権のもとで管轄があるものとして取り扱うことができることなどが規定されています。
国際条約等に定められた外国の外交機関などの特権が影響を受けるものではなく、国際条約等が優先されることも明記されているので、直ちに何らかの影響があるものではありません。しかし、外国側が中国の国家とその財産に対して与える免除待遇がこの法律に規定するよりも劣っている場合、対等の原則によるものとされているので、詳しく見ていく必要があるのかもしれません。
④《行政再議法》(行政复议法)改正
行政処分についての不服申し立てについて定める《行政再議法》が改正されました。同じく2024年1月1日施行です。
行政再議の対象範囲に収用決定及びその補償に関する決定が含まれることが明記されるなど、行政再議の範囲が拡大したことなどが改正点として挙げられています。
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その他、社会保険の異なる地方での引継ぎなどを含む事務取扱に関する規定や
若年者人材育成についての政策、また住宅ローン関連の緩和政策なども出ていました。
若年者人材育成についての政策、また住宅ローン関連の緩和政策なども出ていました。