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2月14日の中国会社法改正セミナー:セミナー資料の目次(予定)

中国の会社法改正について、2月14日にオンラインセミナーでお話させていただく予定になっていますので、そのセミナー資料の目次をご紹介します。 下記は現時点で手元に用意してある資料案によるものですが、当日は時間の関係で全部はお話できない可能性がありますので、その点はどうぞご容赦くださ...

2021年5月28日金曜日

人民元高が進んでいます。

人民元高が進んでいます。昨年5月、人民元対ドルレートは7.1元だったところ、それから1年経って6.3元の時代を迎えたとのこと。

日系企業の中国現地法人の事業にも影響する部分もあります。

中国人民銀行や外為管理局のメンバーも参加する主要銀行を集めた会議の記事では、投機的な為替取引を控えるよう指導しつつ、悪意で一方的な予期を創り出す相場操縦は厳しく取り締まるという話も出たとのことです。

人民日報日本語版5月27日記事:http://j.people.com.cn/n3/2021/0527/c94476-9854686.html

中国新聞網5月27日記事(中国語):https://www.chinanews.com/cj/2021/05-27/9487024.shtml

5月第4週:①銀行カード不正利用(赴任・帰任の季節ですので)、②炭素排出権取引、③「東数西算」、④個人信用調査報告書、⑤レストランの紙ナプキン、⑥環境汚染の通報奨励

今週のキーワード:
危険廃棄物の監督管理、環境違法通報の奨励、地理情報事件


①銀行カード不正利用(赴任・帰任の季節ですので)

銀行カードの不正利用についての司法解釈。
あまりビジネスには関係ないので、詳しい解説が出てこないかもしれませんが、中国に赴任・駐在する方々にとっては非常に大切です。
書籍にも書きましたが、日本ではカード所持人に故意や重大な過失がなければ特に裁判手続を経なくても補償されるのに、中国では多くの場合は裁判をしないと補償されません。
ですので、現実的には泣き寝入りになりがちで、別途保険をかけておくことを強くお勧めしています。
別人によって銀行カードが不正利用されたと主張しようとすると、警察への通報記録や、紛失記録などの記録を提出しなければなりません(第4条)。
不正利用があったことを通報した後、銀行はその後の利用につき監視カメラ録画などの証拠を保存する義務を負い、これらの証拠を出せないと銀行側敗訴となります(第5条)。
ですから、中国の銀行に口座を持っている方は、必ず、口座残高の変動は全てスマホに短信(SMS)で届くように設定し、且つ、その設定が無効になっていないか常に気をつけておくことを強くお勧めします。
(※)しかし、銀行の番号から来たSMSなのに、URLを押すと詐欺だったということもありますので、身に覚えのない通知が届いても決して慌てて押さないでくださいね。
不正利用かどうかは、家族が勝手に使うような場合もあるので諸事情の総合判断になりますが(第6条)、それだけに勝ち負けが見通しにくい厄介な裁判とも言えます。中国の銀行に口座をお持ちの方は、改めてご留意ください。

②炭素排出権取引

炭素排出権取引について、全国炭素市場のリリースは6月に予定されているそうですが、それまでの間は暫定的に、排出権登録アカウントは湖北省取引センター、排出権取引アカウントは上海環境エネルギー取引所が、それぞれのシステムでのアカウント開設・運行などを担当するそうです。この全国炭素市場のカバーする排出量は40億トン以上で、温室効果ガス排出量規模では世界最大の炭素市場となる見込みとのこと。
4月第4週のときに少し触れた「生態製品」の価値実現という話題もそうでしたが、金銭的価値に換算することで分かりやすいインセンティブが働くようになると思いますので、炭素排出量削減にかかわる設備やモニタリングシステムなどのビジネスの加速を期待しています。

③「東数西算」

全国一体化ビッグデータセンターの算力中枢、訳すと何を言っているのか分かりにくいですが、私なりの理解を書いておきます。
監視カメラであれGPSであれスマホ動画であれ、今は過去とは比較にならない膨大なデータが収集・伝達・処理される時代です。5Gの普及でその傾向はさらに進みますが、そのために必要な機器はどこに置かれるでしょうか。
ここで、「東数西算」という分かりやすいキャッチフレーズがあります。
京津冀、長江デルタや広東・香港・マカオなどではユーザー規模が大きくデータ処理需要が大きいのですが、これらの地域では用地やエネルギーの面では限りがあるので、内陸部で再生エネルギーも利用しやすい場所にデータセンターを作り、リアルタイムのデータ処理が必要なものは近くで、それ以外のものは内陸に送って保管・処理する、といったような、全国をネットワークでつないだ役割分担が考えられています。
そのためには各地を結ぶネットワークやハブとなる拠点を計画的に整備していく必要がありますので、これらを政府主導で計画的に推し進めていくことを考えているようです。
同じく今週の記事で、ビットコインの「採掘(マイニング)」禁止の記事も紹介しましたが、政府主導でせっかく整備したデータ処理能力をそんなところに使われては困る、そういうこともあるのかもしれません。

④個人信用調査報告書

個人の信用調査報告書(征信報告)とは、個人の家族や勤務先の情報、個人のローンの残高や、クレジットカードの口座数、利用状況、さらには住宅積立金の納付情報などが記載された公的資料です。ビジネスの中でも、M&Aなどの重要な取引で個人の信用状況が重要となる場合には取引相手に依頼して提供を受けることもある書類ですが、ただ、その記載内容が間違っていることがあるようです。
今回紹介した記事では、過去の勤務先の情報の中に「侮辱的」な職業の記載があったとのことで、消費者金融の会社の従業員が誤って入力したようです。記事の内容としては、「自分でしっかり登録情報に誤りがないか確認しましょう」となっていますが、入力されていた過去の勤務先情報の正誤をどう説明するのか?と考えると、そう簡単なお話でもなさそうに思います。

⑤レストランの紙ナプキン

レストランの紙ナプキン、この事例は、レストランでの注文で、QRコードをスマホで読み取って注文するところ、紙ナプキン(2元)がデフォルトで注文することになっており、しかもそれを取り消せないという仕様になっていて、抱き合わせ販売で処罰されました。
普段の業務なら誰かが気づきそうなものですが、システムやアプリを外注して作るという場面になると、とたんに見落としやすくなるというのは、ありそうなお話だと思いました。

⑥環境汚染の通報奨励

なお、pptにも書きましたが、環境汚染の通報奨励事例が出ています。
最近、昔に比べると「工場に抜き打ちで検査が来た」という話をよく聞くような気がしていますが、近隣住民の通報を受けて検査が入ることもあります。
騒音や振動、異臭などの通報でも検査に来ます。
そして、検査に来た以上は「満点ですね」とは言ってくれず、いろいろと不備を指摘して帰られます。
ですので、中国現地では、検査が来るのも不備を指摘されるのも日常の業務運営の一環と考えておいていただく方がよろしいかと思います。
それにしても、Wechatで100元のお小遣い稼ぎに通報するという気楽さ、これも時代というものですね。


2021年5月21日金曜日

5月第3週:①香港企業の破産手続への大陸内での認可と協力、②ビジネス環境の評価、③労災認定と48時間

今週のキーワード:
クロスボーダーの破産協力、緊急対応管理情報化建設、違法な費用収受


①香港企業の破産手続への大陸内での認可と協力

香港の破産手続に基づいて香港企業の破産手続を行うにあたり、その企業の主たる資産が中国大陸内にある場合には、中国大陸内でもその香港での破産手続の効力を認めて、その手続に協力しましょう、という最高人民法院の意見が出ました。
これだけですと、意味がよく分からないと思いますので、背景について少しご説明しておきます。
まず、前提として、中国大陸内と香港は、一国二制度ですので、香港での破産手続の効力は当然には中国国内には及びません。しかし、歴史的経緯から、ある類型の香港企業の場合、その資産の多くが中国大陸内にある場合が存在しており、これらの資産に香港での破産手続の効力が及ばないとすると、破産手続を行うのに不便です。
ご存じのとおり、香港は歴史的に長らく中国への投資の窓口でした。1978年の改革開放の前後の時期は、いわゆる冷戦構造化でのチャイナリスクをヘッジするために、中国大陸内に直接投資するのではなく、香港に投資するスキームがとられました。中国大陸内に多額の投資をすることを避け、香港企業を設立して、その香港企業が保有する設備を中国国内に持ち込んで、香港企業が中国国内の郷鎮企業の分工場という名義を借りて実質的にその経営をコントロールすることで中国大陸内の安い労働力を活用していました。これが昔よく見られた「来料加工廠」スキームだそうです。(私が小学校に入るか入らないかの時代のことですから、当然ながら、聞いたり読んだりした伝聞情報です。念のため。)
2010年頃からこのような「来料加工廠」を中国現地法人に切り替えていく政策が推し進められてきたため、現在では来料加工を行っている工場も中国の現地法人として法人化されている例が多いと思いますが、このような歴史的な経緯もあって、現在でも中国大陸内に存在する資産が香港企業の名義になっていることはよくあります。それらについて、香港の破産管財人の「名代」になってくれる大陸内の管財人代理を中国大陸内の人民法院が指定してくれることで、香港企業が中国大陸内に預けていた資産を回収・換価して、債権者に正しく分配することができる、ということを意図したものと思われます。今回の試行内容としては、香港企業の「主たる資産」が試行地区として指定された3都市のいずれかに所在していることが条件となっています。
もちろん、他にも資金移動の便利さやキャピタルゲインについての税務上のメリットなど諸々の理由から、中国国内に事業の拠点を置きつつも香港にも別会社を設立している例も多くあります。ですので、意外に適用される場面は広いのかもしれません。
なお、余談ですが、メーカーで言うと例えば金型や治工具、検査機器など、日本の会社の資産として計上されていていても、実際には中国大陸内にあって中国企業が占有・使用している場合もよくあります。ですので、日本企業が中国大陸内に預けてある設備や部材については、相変わらず、日本の破産管財人の先生が頑張って外国企業として中国国内で訴訟を起こして回収しなければならない(それが費用倒れになる場合は放棄せざるを得ない)ということになりますが、香港現地法人経由で預けている場合は、中国大陸内に預けられている資産も円滑に回収できる場合が出てくるかもしれません。

②ビジネス環境の評価

それと、ビジネス環境評価についての新聞記事をご紹介しています。
中国では、2019年に《ビジネス環境最適化条例》を制定して、2020年1月1日から規制緩和や企業のコスト負担軽減、社会信用体系の確立などを推し進めています。世界銀行の発表している各国のビジネス環境ランキングでも中国はここ数年、順調に順位を上げてきており(その評価が妥当かどうかはともかくとして。)、中国国内でも、わが省、わが市こそビジネスをするのに便利・有利な場所だということで、「権威」「公式」などの名称を冠したビジネス環境のランキングがあれこれ発表されています。ただ、正式なものは《中国ビジネス環境報告2020》という報告が唯一のもので、それ以外のランキングは各地方政府や企業・団体から「スポンサー費用」や「手数料」などの名目でお金を払えば良い評価がもらえる、という不正なものであるようです。
実は、《ビジネス環境最適化条例》では既にこのような問題が生じることを予想して、「何者もビジネス環境の評価を利用して利益の取得を謀ってはならない」という条文を制定当初からわざわざ置いていたのですが、それでも守られていないとのこと。
少し前も、社債発行に関する企業の格付について、お金さえ払えば高い格付けが得られる仕組みが問題視されているという記事をご紹介しましたが、構造としては共通するところがあります。
日本でも、随分以前から「No.1マーケティング」という広告手法が流行っていて、「顧客満足度No.1」企業がたくさん存在する不可思議な現象なども起こっていますが(そのカラクリはまた後日どこかでご紹介したいですが)、地方政府までターゲットにしてしまうというのは、さすが中国という印象ですね。

③労災認定と48時間

もう一つ、労災についての記事では、出張からの帰路の途上で突発的に病気が発症して、救急治療の甲斐なく数日後に亡くなってしまったという事例が労災に該当するかどうか?という問題が取り上げられていました。
中国の労災認定の仕組みの中では、昔から「業務中に倒れて亡くなった場合、亡くなったのが48時間以内であれば労災とみなす」というルールがあります。ですので、私も昔から中国の労災に関するセミナーなどでは(半分冗談で)、職場で誰かが倒れたら、とにかく急いで病院に運んで、なんとしても48時間は無くならないようにする方が良いというお話をしていました。一時期、中国でも過労死という言葉が流行ったことがあり、今では定着した感もありますが、この過労死の認定のうえでも、日本と違って残業時間実績から認定するような基準がないので、48時間が一つの重要な基準になります。
ただ、この48時間はあくまでも「みなす」かどうかの基準にしか過ぎないので、理論的には、48時間が過ぎれば労災でなくなるというわけではありません。ですので、この事例では、現地の人力資源社会保障局が労災認定をしなかったのに対して、検察が是正を求め、労働者保護という初心に立ち返って、改めて労災認定をしたというお話でした。
日本もそうですが、中国でも今後は高齢の方も増えてくるかもしれません。今回のような出張の移動中や通勤途中などの微妙なケースも、実務では比較的頻繁に遭遇する場面という印象もありますので、人命第一で対応するのは当然として、労災の処理についても正確に理解して対応いただければと思います。


長々書きましたが、以上はいつもどおり私の個人的理解ですので、より正確には各法律事務所や権威ある先生が発表される論文等をご覧いただければと思います。
新しい法令や事例から遡って背景知識を増やしていただくと、今、必要な知識から順に頭に入れていただくことができると思いますので、ご興味がある項目があれば、このメール配信時の独り言にもお目通しいただければ幸いです。


2021年5月13日木曜日

5月第2週: ①危険化学品の査察活動、②不正競争の取締活動、③スマートシティ試行6都市、④外国人にも受験資格! ⑤並行輸入

今週のキーワード:
コスト低減の重点業務、人口一斉調査データ、並行輸入


①危険化学品の査察活動

危険化学品の重大危険源企業に対する2021年度第1弾の査察活動が行われます。
5月から7月にかけては化学工場の事故の件数が多い時期であり、また特別に重大な事故が起きやすい時期だそうです。
そういえば、化学工場ではありませんが、天津の爆発事故も夏の暑いころだったような気がします。
当時、北京に駐在していたので、現地の中国人の方々から「危険な化学物質が舞い散っているので、天津に行くなら髪の毛を切って行け」と親切な助言をいただいたことを思い出します。

②不正競争の取締活動

取締が来そうなテーマで言うと、もう一つ、「反不正競争法」の取締活動が5月から12月にかけて行われます。
反不正競争法といえば、虚偽宣伝や景品表示などが昔からよく取締で指摘される項目となっていますが、最近クローズアップされているのは商業秘密(日本にいう営業秘密)です。
日本でも大手通信事業者間の紛争があって注目が集まる分野ですが、最近はサイバー攻撃も多いですので、営業秘密については管理の見直しの良い機会でもあります。
なお、個人的には、昔からあるもののなかなか取締の対象にならない商業賄賂がどう扱われるのかが気になります。

③スマートシティ試行6都市

インテリジェント・コネクティッド・ビークルとスマートシティ、日本でも取り組みが進んでいますが、中国では6都市(北京、上海、広州、武漢、長沙、無錫など)を第1弾の試行都市に選定したとのこと。
壮大な実験が続けられ、関係する国家基準やビジネスモデルが模索されていくことになります。中国市場はボリュームが大きいですから、こういった試行地区でテストされる製品やサービスについても目を配っておくと、開発の方向性のヒントになることもあるかもしれません。

④外国人にも受験資格!

そして、北京市で外国人にも資格試験を開放!
何年か前ならば、私自身も中小企業診断士ではなく、そちらを受験したかな?とも思いますが、
登録会計師、医師、特許代理師、税務師、不動産仲介専業人員職業資格などが並んでいます。
ただ、残念ながら、司法試験はまだ入っていないようです。
他には、建設・土木など工事関連の資格のほかに、銀行、ファンド、証券などの業界の資格なども含まれているようですので、
中国語が堪能な方々にとっては、北京への赴任が吉となるかもしれません。
(もちろん、コロナ禍が終わった後のお話ではありますが...)

⑤並行輸入

なお、中国に詳しい方はご存じかと思いますが、
中国では並行輸入は基本的にOKとされておりまして、
直近の事例でも同様の扱いとなっています。
マーケティングを考える際には、中国の代理店と揉めないように、
知っておいていただきたい基礎知識の一つかと思います。


2021年5月11日火曜日

過去のセミナー内容を活字で掲載してみました。

※ 2023年11月追記: 申し訳ございません、このセミナー内容の掲載期間は終了いたしました。あしからずご了承ください。

 


2021年3月5日セミナー

「コロナ禍における中国マーケットに向けた販売展開とその留意点」


 1. 越境EC

 2. 中国向けプロモーションに対する規制

 3. 個人情報保護

 4. ネットワークセキュリティ


ブログページ右上のリンクをクリックしてご覧ください。

https://chineselawtopics.blogspot.com/p/web202135.html



2021年5月5日水曜日

中国の個人情報保護法草案(二次審議稿:意見募集2回目)


中国の個人情報保護法草案、第2回意見募集稿が出たので読んでいました。

http://npc.gov.cn/flcaw/userIndex.html?lid=ff80818178f9100801791b35d78b4eb4

細かい修正が多いですが、同意の撤回の効果(第16条)、受託者の個人情報保存(第22条)、期間満了や同意撤回後の処理(第47条)など少し実務を左右する箇所もあります。


日本で普段使うスマホアプリも、オプトアウトの設定がしやすく便利になりましたが、中国でも方向は同じようです。

中国から中国国外への個人情報の国外提供に関しては、先週のブログでも書きましたが、(残念ながら)あまり変わりなく、単独の同意が必要など厳しい規制がかかることになる見通しです。


中国の国家機関からの個人情報へのアクセスについては、法令所定の権限・手続の範囲に限定し(第34条)、原則として本人の同意を得ること(第35条)は、第1回意見募集稿のままです。国家機関からの外部委託に本人同意を要する条文(第36条)は削除されました。

休暇中ですので、詳細はまた後日にて。

2021年4月30日金曜日

4月第4週:①個人情報保護法草案の二次審議稿(意見募集2回目)、②知的財産権宣伝週間・知財判決10大事例(OPPOの事例)、③半導体関連の奨励策対象企業の条件、④自動車部品の再製造、⑤生態製品、⑥「軽資産」企業

今週のキーワード:
ネットワークライブ配信マーケティング、人手不足職業ランキング、知的財産権の典型事例


①個人情報保護法草案の二次審議稿(意見募集2回目)

中国の個人情報保護法(草案)、二次審議稿が公表されました。
2回目の意見募集で、今回の意見募集の期間は4月29日から5月28日までとなっています。

ポイントとなる中国国外への個人情報提供についての規定は、昨年の意見募集稿と大きくは変わっていないようですが、
提供のための条件のうち一つであった国外の提供先との間の契約については、
・ 【国家ネットワーク情報部門が制定する標準契約に従って】国外の受領者と契約を締結し、双方の権利及び義務を約定し、かつ、その個人情報処理活動がこの法律所定の個人情報保護基準に達することを監督していること(第38条第3号)。
という【  】部分が追加されました。
この標準契約がどんな内容になるのかは不明ですが、
この点が不明のまま、法律としては成立してしまいそうな気もしています。
一方、以下の各部分は、前回の意見募集稿から特に変わりなさそうです。
・ 個人に対して「国外の情報受領者の連絡先」や「提供する個人情報の種類」などを告知したうえで、「単独の同意」を得なければならない(第39条)
・ 国外の情報処理者が中国国内に機構を設置又は代表を指定しなければならない(第52条→第53条)
その他の詳細は後日、機会があれば研究してみようと思います。

なお、個人情報安全技術に関する各種の国家基準は、この数ヶ月、多数の意見募集が出ています。
「中国の個人情報保護基準を満たす」と一言で言っても、国家基準に定めた各種の条件をクリアしていく必要があります。
日系企業の皆様は概ね B to B の取引が多く、顧客やユーザーの個人情報を扱うことは少ないと思うのですが、
関係する企業の方々におかれては、国家基準も見ることを忘れないようにご留意ください。


②知的財産権宣伝週間・知財判決10大事例(OPPOの事例)

ちなみに、今週は知的財産権宣伝週だったそうです。
4月26日がWIPOの「知的財産権の日」で、その前の一週間が宣伝週になっているとのこと。
ですので、今週は新聞では知的財産権の話題が多くなっていました。
知的財産権の10大事例はいつも参考になりますが、
pptでも紹介したOPPOの事例は、
権利者側がライセンス交渉中に他国で訴訟を提起した行為に対して、
FRAND義務違反を理由に「全世界にわたり他国で提訴してはならない」という保全裁定を出したものです。
中国が「国際知的財産権規則の追従者」から「国際知的所有権規則の指導者」に転換することについて重要な推進的意義を有するとのこと。
詳細は事例の原文をよく見て分析してみなければ分からないですが、
中国企業へのライセンス・アウトの交渉には大きな影響を与えそうに思います。

③半導体関連の奨励策対象企業の条件

なお、半導体関連の奨励策、対象企業となるための条件が公表されました。
企業所得税の減免税のほか、設備輸入免税などの政策を享受する基準となりますので、
条件を満たす会社は、日本からの輸出先顧客として有望ということにもなるかと思います。


④自動車部品の再製造

このほか、細かいですが、いくつか。

自動車部品の「再製造」に関する弁法が出ています。
もともと《廃棄機動車回収管理弁法》という弁法があり、廃車になった自動車から部品を取り出してリサイクルする場合のルールを規定しており、
いわゆる「5大アセンブリ(五大总成)」は再製造できる場合以外はスクラップにしなければならないことなどを定めていますが、
その再製造に関するルールの部分を明確にしたもののようです。

⑤生態製品

「生態製品」、あまり聞きなれない言葉ですが、
自然環境を観光資源などとして旅行などのサービスに提供することを意味するほか、
さらに、飲料などのブランド化による価値向上などといった形で、
環境資源の経済的価値を可視化していって「製品」にするというイメージでしょうか。
「定量化しにくく、担保にならず、取引しづらく、現金化しづらい」という環境資源の価値を
経済的に認識できる仕組みを構築していきましょう、ということが政策として打ち出されています。
具体的には、昨年11月に発表された生態製品価値実現の典型事例(第2集)を見ると、少しイメージはしやすいかと思います。
もし興味があればご覧ください。

⑥「軽資産」企業

「軽資産住宅リース企業」、これも馴染みのない言葉ですが、
「軽資産企業」とは、日本でも一時話題になった「持たない経営」、すなわち資産を自前で持つのではなくてアウトソーシングで調達して顧客に提供するビジネスモデルを採用している企業を指します。
ここでは、住宅の賃貸借の場面ですから、所有者から物件を借りて転貸するサブリース企業のことを意味します。
以前にご紹介したとおり、サブリース企業が賃料を持ち逃げする事例が多発しているらしいですので、その管理を強化するという通達のようです。


追伸:
 5月1日~5月5日が珍しく日本も中国も同時に5連休となりますので、
 来週の資料は休載とさせていただく予定です。
 直前のお知らせとなり恐縮ですが、ご了承くださいませ。




2021年4月23日金曜日

4月第3週:①証券業界での中国式集団訴訟、②会社の休眠を認める制度、③魔蠍(サソリ)...「パスワード教えて」は全て詐欺、④アプリの画面共有機能の悪用

今週のキーワード:
不動産抵当権登記、企業の「休眠」、独占処罰


①証券業界での中国式集団訴訟

「康美薬業」の事件については、
昨年5月第4週のワークショップ資料で「A株市場最大の粉飾事件」として取り上げました。
銀行払戻伝票の偽造、定期預通帳の偽造、固定資産の水増しなどによる巨額粉飾が発見され、
株価が9割近く蒸発したのに証監会による行政処罰の上限は60万元でしかないということで
問題視されていた事件です。
また、昨年8月第1週の資料でも、
中国版の集団訴訟が出航 『康美』などが投資家による損害賠償請求の大時代へというタイトルで、
《証券紛争の特別代表人訴訟にかかる若干の問題に関する規定》が発布されたことと、
これによる集団訴訟の初のケースは「康美」などの粉飾決算事件を起こした会社になるだろうという記事を紹介していました。
今回は、4月16日に中小投資者服務中心が50名以上の委託を受けて特別代表人訴訟を開始したことについて、
証監会も上場会社の粉飾という「悪性腫瘍」に対する「ゼロ容認」の態度に沿うものとして支持するとの記事です。
中国式集団訴訟がどのように運用されていくのか、今後も見ていきたいと思います。

②会社の休眠を認める制度

会社の「休眠」については、これまでずっと正面からこれを認める法的根拠はなく、
しかし実務上は非常に多数存在している状況が続いてきました。
登記や信用調査では特に変わった様子が見られないのに、
工場を訪れてみると誰もいない、登記されている住所には別の会社が入っている、
そんな経験をすることもよくありました。
今般、コロナ禍によって長期休業を余儀なくされた会社が多かったのか、
ようやく、会社の休業に関する制度が設けられるそうです。
今回の資料では、先行している南京市の事例を取り上げていますが、
実務運用が定着するまでは従来どおりの事実上の休眠の方が使いやすい場面が多そうに思います。
(逆に言えば、上記のような「隠れ休眠」状態の会社はまだまだ無くならないのではないかと。)

③魔蠍(サソリ)...「パスワード教えて」は全て詐欺

なお、「魔蠍データ」社の事件、魔蠍(サソリ)という名前からして既に怖いですが、
ネット金融会社や小規模銀行と提携して、個人の信用データを提供していた会社の起こした事件です。
ネット金融のプラットフォーム上に設置したプラグインで社会保険や信用調査センターなどのアカウントとパスワードを入力させ、
それらのアカウントを使った通話記録や各種データをコピーしていたとのこと。
しかも、ユーザーとの規約で「アカウントやパスワードは保存しません」と明記していたのに
実際には裏でしっかりこれらを利用してデータ収集を行っていたというトンデモナイ悪質事件でした。
日本でもそうですが、「パスワード教えて」は全て詐欺!ということで、基本を忘れずに暮らしていただきたいと思います。
(ちなみに、恥ずかしながら私自身、中国で電話の詐欺に引っかかりそうになったことがありました。
 中国語ができる人ほど引っかかってしまうらしいですので、充分お気をつけください。)

④アプリの画面共有機能の悪用

最後に、個人的には、「アプリの画面共有機能を利用した詐欺」の記事で、
『知らない人に画面共有しないように!』という注意喚起の記事から出ているのが気になります。
詳細な理由は書かれていませんが(犯罪の手口を広めると困るからですね)、
会社内部の会議や、よく知った取引先との会議以外では、画面共有機能はなるべく使わない方がよさそうです。


2021年4月15日木曜日

4月第2週:①会社に名義を貸して処罰、②中古車の履歴情報とプライバシー、③なぜか財政部が医薬企業を処罰

今週のキーワード:
輸出入食品安全管理、アリババ独占処罰、虚偽訴訟、中古車履歴情報権利侵害事案


①会社に名義を貸して処罰

虚偽訴訟の事例、
従業員が会社のために名前を貸した結果、
虚偽訴訟として犯罪者になってしまいました。
昔は一般の事業会社は「委託貸付」という方式で
銀行に名義を借りなければ他者への貸付はできませんでした。
今は、そのような貸付でも民事上は有効であることが実務上も確立されているので、
従業員の名義を借りる必要など全くなかったはずなのですが、
知識がなかったのか何か事情があったのか、不憫な事例であるように思います。
昔の知識で行動を決めてしまうことがないように、気をつけたいですね。

②中古車の履歴情報とプライバシー

中古車取引に関するアプリの事例、
プライバシーとは「知られたくない」情報全てを言うのではないことは当然として、
日本と同じように、何が個人情報で何が個人情報でないのかは
誰から見るかによって変わってしまうことがあります。
この事例では、他の情報と組み合わせて個人を特定することが可能であるとしても、
そのコストが大きければ、なお個人を特定可能であるとは言えないとしました。
技術の進展によって変わる部分もあるので、敏感な話題です。


③なぜか財政部が医薬企業を処罰

財政部が医薬企業を処罰したということで、
国家薬品監督局の間違いでは?と思って見てみましたら、
発票の虚偽発行や資金名目の偽装、帳簿の不備などによる処罰でした。
過去には著名な外資系企業が処罰を受けて大きな話題になったこともありましたし、
まだまだグレーなお金が流れる業界だということなのかもしれません。

アリババグループの発表レターの内容(中国反独占法処罰の件)

遅まきながらですが、4月10日のアリババの発表レターの内容(中国語繁体字版)、最初と最後の部分だけ、ざっと日本語にしてみます。粗いですがご参考まで。

https://www.alibabanews.com/

(英語版はこちら)https://www.alizila.com/a-letter-to-our-customers-and-to-the-community/


(仮訳ここから)

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尊敬するアリババの事業者、消費者、取引先及び投資者各位:

本日、我々は国家市場監督管理総局のアリババ集団に対する行政処罰決定を受領しました。この処罰に対し我々は誠実に受け入れ、必ず従います。この機会を借りて、アリババおよび全アリババスタッフ、事業者、消費者、取引先及び投資者の我々に対する信頼と寛容につき、我々の感謝の意を表し、また我々の将来長きにわたる健全な発展に対する考え及び行動を率直に伝えたいと思います。

過去数ヶ月にわたり、我々は全力で調査に協力し、国家のプラットフォーム経済に対する政策及び要求を真摯に学びました。業務の安定的な運営を確保すると同時に、システムの自主審査と改善を行いました。我々は、本日の処罰は、我々に対する注意喚起と鞭撻であり、業界発展に対する規範と保護であり、国家が公平な競争市場環境を守り、プラットフォーム経済の高品質の発展を推進する重要な措置であることを認識しました。


(中略)


今日はアリババ集団の発展の歴史・過程における極めて重要な一日であり、我々はここを新たなスタートとして、問題に正面から向き合い、鋭意革新していきます。政府の監督・管理及びサービス、社会各界の批判、寛容と支持は、アリババの継続的な成長の鍵です。これにつき、我々は心から感謝し、同時に畏敬の念を抱いています。顧客第一に、社会のために不断に長期的価値を創造する良い会社となることは、我々の初心であり、我々の存在及び発展の最大の意義でもあります。我々はこれにつき自信に満ちており、決して動揺することはありません。

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(仮訳おわり)


「我々」の箇所が英語版では「companies like ours」となっているなど、英語と中国語は機械的に一致しているわけではなさそうですので、両方読んでみると、より参考になるように思いました。



2021年4月8日木曜日

4月第1週:①デジタル人民元、②中国でも若者の製造業離れ

今週のキーワード: 
生産安全事故の予防と改善措置の実施状況評価弁法、求人難、分解可能プラスチック製品


①デジタル人民元

話題のデジタル人民元、スマホ決済アプリと同じような感覚で使えるらしいですが、
プライバシーは大丈夫なのか?という心配の声も上がっています。
ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)と違って中央銀行が管理するところ、
マネーロンダリングやテロ資金に使われないように制御する必要があるために、
完全に匿名にするわけにもいかないのでは?という疑問です。
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Q. 携帯電話番号は実名制なので、匿名になりようがないのでは?
A. 確かに携帯電話番号と紐づいているが、電話会社はユーザー情報を中央銀行に開示しないので、完全に匿名だ。
Q. 匿名性とマネーロンダリング対策は両立しないのでは?
A. 大口取引には特別の「口座」を作って届出をさせるので、違法な取引を抑止できる。
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日本や各国でも同じような議論があるのだろうと思われ、興味深く見ています。

②中国でも若者の製造業離れ

それと、若者の製造業離れという記事が出ていました。
どこの国も同じですね。



2021年4月2日金曜日

3月第5週:①「経営範囲」の今と昔、②半導体・ソフトウェア業界の輸入奨励、③発明者報奨の奨励、④上海市の実際の人口は?

 今週のキーワード:

新型消費、精神的損害賠償、免責条項、経営範囲登記の規範化


①「経営範囲」の今と昔

「経営範囲」、昔から中国子会社にかかわった皆さんには耳になじんだ言葉ですが、
その意味合いは昔に比べると随分変わりました。
今は経営活動を制限しない(=逸脱しても処罰されない)となってきています。
 ※ 個別業種の許可証は相変わらず必要ですので、ご注意ください。

②半導体・ソフトウェア業界の輸入奨励

半導体やソフトウェア業界での輸入奨励も出ていますので、
新年度のスタートにあたって、そちらもご覧いただくと
中国向け輸出の売れ筋が分かって良いかと思います。
「2030年」12月31日まで適用するそうですから、長期的に見てご検討ください。

 

③発明者報奨の奨励

政府系研究機関での話ですが、発明の実用化に伴って発明者に支払う報奨について、
社会保険納付基数に影響しない(翌年の社会保険料が上がらずに済む)とのこと。
通常の労働賃金の世界ではあまり見ない発想なので、興味深いところです。
 

④上海市の実際の人口は?

なお、上海の実際の人口について新たな管理規定が41日から施行され、
短期の滞在でも登録を強制されるのか?と話題になっています。
この点、個人については強制ではなく任意ですよ、というのが上海市政府の説明です。
https://www.shanghai.gov.cn/nw12344/20210401/4489006005e84766b26d14ac99378fdd.html
一方で、会社の方は、従業員を上海に来させるとシステム上で
新規増加従業員情報として入力しなければならないとのこと。
会社にとって特にメリットはなさそうなので、つい忘れてしまいそうですね。

2021年3月25日木曜日

3月第4週:①広交会オンライン開催、②アプリの個人情報取得範囲

今週のキーワード:
製造サービス業の発展推進、アプリの必要個人情報範囲、新職業、賃金報酬分配ガイドライン


①広交会オンライン開催

415日~24日の「広交会」(広州交易会)」、オンラインでの開催となるそうです。
前回に引き続き参加企業の費用免除や、ECプラットフォームとの連携活動の費用免除など、
外国との貿易にかかわる企業の苦境を助けるために支援するとのことです。
http://www.mofcom.gov.cn/article/i/jyjl/l/202103/20210303047202.shtml
中国に駐在していた当時は、この時期に広州に出張すると
飛行機もホテルも非常に予約が取りづらくて困ったものでしたが、
(急な出張でホテルも予約しておらず彷徨う羽目になったのも、今では良い思い出です。)
今はこのコロナ禍でどうなっているのでしょうか。
 

②アプリの個人情報取得範囲

それと、新聞でも報道されていますが、スマホアプリの個人情報取得ができる範囲が制限されました。
従来から個人情報の収集は必要最低限にすべきというルールはありましたが、
やはり中国では「明確に禁止されていなければOK」という発想がまだまだ多いですので、
今後もこのように、こまごまと基準が明確にされていくことが予想されます。
今最も動きが早い分野でもありますので、どうぞお気をつけください。




2021年3月19日金曜日

3月第3週:①知財侵害の懲罰的賠償、②虚偽訴訟、③「技能人材」賃金報酬分配ガイドライン

 今週のキーワード:
ネットワーク取引監督管理弁法、「十四五」指標、「315晩会」、高級管理人員の同業競争事案


①知財侵害の懲罰的賠償

知財侵害の懲罰的賠償の典型事例が発表され、
小米やadidasの商標侵害事件などが挙げられています。
adidasの事例は、行政処罰がなされた後に、
さらに民事で5倍の懲罰的賠償請求に対して3倍の賠償が認められました。
製造工程のノウハウを侵害した事件でも、一審で2.5倍の懲罰的賠償が認められたところ、
さらに二審では上限となる5倍の懲罰的賠償まで認められた例が紹介されています。
 

②虚偽訴訟

虚偽訴訟については、日本と同じく、
債務逃れや強制執行逃れのための会社分割や破産事件、
さらには知人を債権者に仕立てた架空債権の請求事件などがあります。
面白いのは、「労働紛争」の虚偽訴訟も多いらしく、
例えば、以下のような形で「活用」されているようです。
①倒産しそうな会社で経営者が多額の報酬未払で会社を訴え、
 債権者からの強制執行を受ける前に報酬を持って逃げる。
②労務派遣会社と派遣先が共謀して、請負を偽装するために
 請負代金請求訴訟を起こし、裁判所で請負契約であるという認定を得て、
 これをお墨付きにして労務派遣に関する行政規制を免れる。
他にも社会保険を騙取するための虚偽訴訟などもあるようです。
 

③「技能人材」賃金報酬分配ガイドライン

「技能人材」の賃金報酬分配に関するガイドライン、参考であり法的拘束力はなく、
また、現場作業員に関するものですので従業員全般に関するものではありませんが、
業績連動給やキャリアプランなど、
かなり細かく社内の人事労務についての仕組みづくりについて言及されています。
未だに上司にお歳暮を贈る人が優遇されるような旧態依然とした会社も多いところ、
業務成績によって相当差をつけるような給与体系も推奨されていますので、
私自身、機会があれば細かく見て勉強しておきたいと思っています。

2021年3月16日火曜日

昨日の315晩会から一言

昨日の315晩会から、一言です。問題となった条項は以下のようなものでした。

「乙は如何なる方式でも(メディア、SNS、フォーラム、モーターショー等を含む)ネガティブな宣伝又は情報伝播を行わず、甲の正常な経営に悪影響を及ぼさないことを承諾する。」

「本合意の効力発生後、双方の間で合意した紛争の件(本件事件)は全て解決完了したものと見なし、乙は自発的に本件事件が直接又は間接にもたらす損失又は損害につき放棄する。」

いわゆる弁護士的な対応がビジネスとして正しいとは限らないこと、常に意識しておきたいと思います。

2021年3月12日金曜日

ネット販売の消費品リコールに関する記事を掲載いただきました。

【中国法務レポート】

インターネット販売消費品のリコール監督管理の強化に関する市場監督管理総局の公告


3月第2週:①中国の訴訟件数が減少、②ブラックリスト制裁は柔軟に、③「315晩会」は予定どおり放送

 今週のキーワード:
2021年立法計画、ネットワーク求人情報、チャットによる個人情報開示、デジタル化レシート


①中国の訴訟件数が減少

中国の訴訟受理件数、2004年以来初の減少とのこと。
新型コロナで裁判所の業務が停滞していたからでは?と思いきや、
訴訟に代わる多様な解決方法が整備されてきたからだそうです。
(確かに、ここ数年、訴訟受理前に裁判所が相手方に連絡して、
 和解の意向があるかどうか聞く運用になっています。)
 

②ブラックリスト制裁は柔軟に

いわゆるブラックリスト、信用失墜措置についても、
あまり厳しい適用はしないということで、債権回収には少し影響がありそうです。
 

③「315晩会」は予定どおり放送

なお、315日の消費者保護デーの特別番組「315晩会」、
去年はコロナ禍で放送延期でしたが、今年は日付どおり放送するそうです。
https://mp.weixin.qq.com/s/s9AtNZYQoTeIyqa2T53U4A


個人破産制度の記事を掲載しました。

中国で初めての個人破産制度が深センで先行開始

~《深セン経済特区個人破産条例》


2021年3月5日金曜日

3月第1週:①知財出願の乱発抑制、②定年延長が話題に、③深センで個人破産制度が始まる

今週のキーワード:
知的財産権の懲罰的賠償、定年延長、個人破産法規


①知財出願の乱発抑制

知的財産権侵害事件の懲罰的賠償に関する司法解釈が出まして、
故意・悪意の認定基準などが明確化されています。
さらに典型案例も発表して正確な理解を広める予定とのことです。
一方で、補助金を得るためなどの目的で、
ことさらに特許を分けて出願するなど出願を乱発する行為も見られるようで、
そのような出願の規制に関する通知も出ています。
知的財産も「量から質へ」の転換を図っているのですね。

②定年延長が話題に

現地法人側に関する話題としては、
定年延長が議論されているので、定年まで近い従業員の扱いには
少し気をつかうことになりそうです。

③深センで個人破産制度が始まる

また、個人的には、個人の破産制度が深センで始まったニュースが興味深いです。
今は深センに3年以上住んでいる人だけが対象のようですが、
大きな問題が起きなければ全国にも同じような制度が普及してくると思われます。