①ファイナンスリース会社に対する監督強化
ファイナンスリース会社については、2020年5月に《ファイナンスリース会社監督管理暫定施行弁法》が中国銀保監会から発布・施行されていますが、現在はまだ3年間の過渡期の過程にあります。今回さらに、「非現場監督管理規程」が発布され、ファイナンスリース会社の重大事項についての報告を求めるなどの規制は上記の弁法でも規定されていますが、情報提供や検査権限などの面で規制が強化されるようです。
ちなみに、ファイナンスリース会社は、「金融リース会社以外の」ファイナンスリース業に携わる会社をいいます。歴史的な縦割り行政を背景とした整理として、「金融リース会社(金融租赁公司)」は銀監会の認可を経た金融機構(いわゆるノンバンク)であるのに対して、「ファイナンスリース会社」は商務部の認可により設立される非金融機構である、という違いがあります。資金源や業務面での規制が異なるのですが、2018年の国務院機構改革で銀監会と保監会が統合されて銀保監会となったとき、ファイナンスリース会社に対する監督管理権限も商務部から銀保監会に移行されました。
ただ単に監督官庁が変わっただけではなく、銀保監会による管理への移行に合わせて、2020年の弁法発布から3年間で金融機関並みの規制に対応することが求められています。しかし、これまでファイナンスリース会社は「金融機関ではない」という前提でずっと運営してきたものですから、既に移行期間の半分が経過した現状でも、なおファイナンスリース会社各社では若干の混乱があるようにも見受けられます。
グループ内にファイナンスリース会社がある企業各社では、そのような背景事情を含めて理解いただき、過去の延長線とは違う現状があることを改めて認識いただければと思います。
②商品相場や価格の高騰に関する注意喚起
2月15日に市場監督管理総局から、鉄鉱石の港での在庫量や先物取引の状況に基づき、関連する企業に対して注意喚起と警告が出ています。関係企業する企業は、虚偽の価格情報を発信することや、悪意の投機的売買、買占めや物価吊り上げ行為を行わないように、という内容となっています。
中国では《突発事件対応法》という法律があり、政府は自然災害、事故災難又は公共衛生事件の発生した場合に買占めや物価吊り上げ行為を処罰する対応措置を講じることができます(第49条第8号)。新型コロナウイルス感染拡大によりマスク価格が高騰した場面で講じられたような措置です。また、そのような事態でなくても、《価格法》第14条第3項は商品価格を高騰させるような行為を不正価格行為として禁じています。
今回も上記のような行為については厳しく取り締まるとのことです。今回は鉄鉱石の価格に関するものですが、昨年8月にも半導体について同様の通知がありました。さまざまな物価上昇が話題になる昨今ですから、中国における価格に関する規制についても目にする機会が増えるかもしれません。
③フリーランスの求人募集をめぐる事件
中国でも様々なフリーランスの方々向けの求人プラットフォームがあります。先日も中国の国家統計局から、フリーランス(灵活就业)の形態で就業する人たちが2億人を超えたことが紹介されていました。
配車アプリのときもそうでしたが、新しいサービスが普及していく過程では世間の耳目を集めるような悲惨な事件が起こって、それに応じて規制が強化されるという動きが起こります。今回は、一人の男性が求人募集に応じたところ、犯罪集団に某国に連れて行かれて違法に監禁されたうえ、大量に血液を抜かれて(「血奴」、血液の奴隷と紹介されています。)生命の危機に陥って病院に搬送され、某国の中国大使館に通報があったという記事が出ていました。
企業にとっても個人にとっても便利な求人募集のプラットフォームですが、日本でも「闇バイト」といってSNS等で犯罪に巻き込まれることもあるようですから、中国でのこうした事件も参考にしながら活用を考えていただければと思います。