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公益通報者の匿名性: 「通報者探し」(通報者の探索)をしてはいけないことの根拠条文(日本)

最近何かと話題の公益通報について。 業務上、社内の不正などに関する内部告発について取り扱う機会が多いので(特に中国は匿名での内部通報は多いです。)、少し書き留めておきます。 匿名での通報があったときに、なぜ「通報者探し」(※)をしてはいけないのか?という点について、法令上の根拠条...

2023年4月4日火曜日

3月第5週:①知的財産法廷の年度報告と典型事例、②失業保険・労災保険料率の引き下げ継続、③贈賄犯罪の典型事例

①知的財産法廷の年度報告と典型事例

最高人民法院から、知的財産法廷の年度報告と典型事例20件が発表されていました。
年度報告には、平均審理期間165.2日(暦日)など、統計の数字が紹介されています。図が入っていて見やすいです。
自動車ディーラーの再販売価格制限について行政処罰が行われた後、購入者個人がディーラーに対して賠償を求めた事例(典型事例の事例19)など、興味深い事例もあります。

②失業保険・労災保険料率の引き下げ継続

人社部、財政部、国家税務総局から、失業保険・労災保険料率の引き下げ継続についての通知が出ていました。
各地で勝手に納付基数を引き下げたり社会保険費を減免するなど基金収入を減少させる政策を出してはいけない(四、)といった記述も見られます。

③贈賄犯罪の典型事例

贈賄犯罪の典型事例5件が新たに公表されました。
非国家業務人員(村の党書記)への贈賄の事例や、生産安全知識試験の合格証書取得のための贈賄の事例などが紹介されています。

④余談

4月から大阪・上海間の航空便が大幅に増えたそうで、航空券の価格も随分と下がっていました。1ヶ月前に見たときはまだまだ非常に高かったのですが、今はコロナ禍の前よりもお求めやすくなっているものもあるようです。


2023年3月27日月曜日

3月第4週:①《反独占法》関連の細則規定4件、②広告絶対化用語取締指針、③行政許可事項リスト

①《反独占法》関連の細則規定4件

《反独占法》関連で昨年6月から意見募集が行われていた細則規定のいくつかが正式に発布されました。
《経営者集中審査規定》:
《独占合意禁止規定》
《市場支配的地位濫用行為禁止規定》
《行政権力を濫用して競争を排除し、又は制限する行為を制止することにかかる暫定施行規定》
《独占合意禁止規定》については、意見募集稿第15条では市場シェアにつき15%という具体的数字が明記されていたのですが、今回の正式発布では「市場監督管理総局の定める標準」となり、具体的な数値は先送りになっています(第17条)。

②広告絶対化用語取締指針

「国家級」、「最高級」、「最良」等の表現は《広告法》第9条第3号で禁止されているのですが、このような「絶対化用語」の取締についての指針が出ています。
これらの用語を使っていても、それが販売しようとする商品に関するものではなく、単に事業者の理念や態度、目標を示すだけの記述であれば《広告法》の禁止対象には含まれないこと、医療・美容や投資、教育などの分野において使用される場合は社会的影響が軽微とは見なさないこと等が規定されています。

③行政許可事項リスト

国務院弁公庁から、行政許可事項リストの2023年版が公表されています。
昨年以降、行政許可を取得する必要がある事項は中央、地方それぞれリスト化されているので便利になっています。


2023年3月21日火曜日

3月第3週:①「立法法」改正、②電信分野の通報処理規定、③「3・15晩会」

①「立法法」改正

立法(法律・条例・規則などの制定)の権限や手続について定めた「立法法」が改正されました。http://www.npc.gov.cn/npc/kgfb/202303/eb5e0e60ff5f43f7a3bfa2a10bbee6ba.shtml
習近平新時代、中国式現代化による中華民族の偉大な復興の全面的推進、といった記載が追加されています。(第3条、第4条)
外資三法のときのように、まずは暫定的に執行を調整又は停止してみて、実践してみて実行可能であることが証明できたら改めて法律を改正するという条文が加わっています。(第16条)

②電信分野の通報処理規定

工業情報化部から、電信分野の通報処理に関する規定が出ています。
https://www.miit.gov.cn/zwgk/zcwj/wjfb/tz/art/2023/art_9026e3292d20444589cfeffcced25973.html
違法行為発生地の通信監理局が処理を担当すること、通報から60日のうちに分類処理すべきことなどが規定されています。

③「3・15晩会」

今年も3月15日の世界消費者権利デーにCCTVで「3・15晩会」の放送がありました。残念ながら今年はリアルタイムでは見られなかったですが、ネットでも見られるようです。
個人的に面白いなと思ったのは、SNSの短編動画配信で、さまざまなトラブルを解決する正義漢がいて、その活動を高齢者の方々は好んで見ており、この正義の人を応援するためにその人が紹介する商品を購入するのだそうです。
ですが、実はそのトラブル解決には台本があって、登場する人たちは役者さんで、単なる商品を売るための手法とのこと。20元くらいの商品が199元で売れてしまうそうです。
その他、定番の美容やスマホの個人情報に関する問題、さらに最近はやりの「常連殺し(殺熟)」など紹介されていました。

2023年3月13日月曜日

3月第2週:①国務院機構改革方案、②最高人民法院の業務報告、③個人情報出境標準契約弁法

①国務院機構改革方案

国務院の機構改革方案が承認されました。
http://www.gov.cn/xinwen/2023-03/11/content_5745977.htm
最初に科学技術部の再構築が挙げられているのは、科学技術を重視する政策の表れかと思います。
次いで国家金融監督管理総局の新設、これは従来の銀保監会をベースに、人民銀行の金融集団の監督管理部門と証監会の投資家保護部門を統合する形になるようです。
一連の金融関連の部門の再編に続いては国家データ局の新設と続いています。

②最高人民法院の業務報告

最高人民法院のこの5年間の業務報告が発表されています。
この5年間での一審の受理件数が3370万件とのことですから、中国で如何に訴訟が多いかが分かります。
審理・終結した破産案件は4.7万件、うち重整(再生)事件は2801件あり、3285万社の企業の苦境脱出を助け、92.3万人の従業員の雇用を安定させたとあります。

③個人情報出境標準契約弁法

中国国内から国外への個人情報移転・提供のときに締結が求められる標準契約書式、正式発布になりました。6月1日から施行予定で、不適合の場合には施行日から6ヶ月のうちに是正を完了するように求められています(第13条)。
厳格にこの書式にしたがって契約を締結しなければならないこと、他の条項を追加することはできるが書式内容に抵触してはならないこと(第6条)、
契約締結後10営業日以内に、個人情報影響評価報告書とともに、現地のインターネット情報部門への届出をしなければならないこと(第7条)、
などが規定されていますので、半年以上時間があるとしても、なかなか対応は難しそうです。
中国国内の個人情報を中国国外に出さない、という対応にならざるを得ない部分もあるかと思います。

2023年3月10日金曜日

個人情報出国標準契約

お知らせが遅くなってしまいましたが、以前にお伝えしていた中国国内から国外への個人情報移転・提供のときに締結が求められる標準契約書式、正式発布になりました。6月1日から施行だそうです。



2023年3月6日月曜日

3月第1週:①政府業務報告、②ネットアプリのサービス能力向上、③刑事事件における弁護士の業務執行、④安全生産重大リスク検査

①政府業務報告

李国克首相による政府業務報告が活字でも公開されています。
今年は政府が変わる年ということで、この5年間の振り返りがあり、そのうちでは3年にわたった新型コロナウイルス対応についても述べられていました。
住宅については、「住宅は住むために用いるものであり、投機のために用いるものではない」と不動産価格の抑制について述べていた昨年に比べ、今年は若者向けの住宅問題の解決を挙げているなど、少し変化も見られます。

②ネットアプリのサービス能力向上

ネットアプリについて、ダウンロード・インストールや個人情報保護などを含む各種措置に関する通知が出ています。
プラットフォームでの動態的な監視の強化、SDK(ソフトウェア開発ツール)の仕様管理などの方針も見られます。
カスタマーサービスの月平均の反応期限30秒、人手による応答率85%とすることなど、数値を掲げている部分もあります。

③刑事事件における弁護士の業務執行

刑事事件での律師(中国弁護士)の活動に関する10ヶ条の意見が出ています。
https://www.spp.gov.cn/spp/xwfbh/wsfbt/202303/t20230302_605005.shtml#2
被疑者との面会が阻害された場合の対応などについて、律師協会も関与して弁護士の業務執行上の権利が確保されるべきことなどが規定されています。

④安全生産重大リスク検査

国務院の安全生産委員会が全国で重大リスクの検査活動を行っています。20の総合検査チームが河北省、上海市、江蘇省などに入って検査活動を行っているとのことです。


2023年2月28日火曜日

2月第4週:①中国企業の国外上場の届出制、②財務不正・粉飾決算などに関する取締強化、③物流に関する統計

①中国企業の国外上場の届出制

日本でも報道されていましたが、中国企業の国外での上場に関する届出制が導入されました。
http://www.csrc.gov.cn/csrc/c100028/c7124479/content.shtml
従来は国外上場は許可制だったのですが、実際には、中国企業の株式そのものを上場させるのではなく、その国外の支配企業の株式の預託証券を上場させるなどのスキームが取られていました。
今回の弁法では、そのような間接的な上場も対象となっているものの、既に上場している企業については、今後改めて届出対象事項が発生するまでは届出をしなくて良いようです。
既存の状態は尊重されつつも、資本の面でもデカップリングが進むのかもしれません。

②財務不正・粉飾決算などに関する取締強化

中共中央弁公庁・国務院弁公庁から、財務・会計の監督業務の強化に関する意見が出ています。
企業自身に主たる責任があることは当然ですが、会計事務所などを含めた立体的な規制が提唱されており、今後、従来どおりにしていても管理レベルが不足と指摘される場面が出てくるかもしれない話題と思います。

③物流に関する統計

国家発展改革委員会・国家統計局弁公室から、物流統計・モニタリング業務の強化に関する通知が出ています。
コールドチェーン物流の強化などの政策が従来から打ち出されている中で、各地で物流景気調査などを行い、また情報共有を進めるなどして、統計の情報量と精度を高めようということのようです。



2023年2月19日日曜日

2月第3週:①部門を跨いだ総合監督体制、②2022年ブロックチェーン活用事例リスト

①部門を跨いだ総合監督体制

国務院弁公庁から、食品・薬品、医療機器、危険化学品、ガス、特殊設備、建設工事、不法金融活動などの直接的に市民の生命財産にかかわる分野で、部門を跨いだ総合監督を積極的に行うことなどを定めた指導意見が出ました。
インターネットを用いた情報収集や部門を跨いだ信用失墜懲戒などについて言及されています。

②2022年ブロックチェーン活用事例リスト

ブロックチェーン技術を実際に事業等に活用している事例のリスト、2022年版です。
https://www.miit.gov.cn/zwgk/zcwj/wjfb/tz/art/2023/art_61ebb423b7f64bb0bfdd15a4a1b77b9f.html
著作権登録や取引のできるプラットフォーム、食品・薬品のトレーサビリティに関するプロジェクトなどのほか、納税申告や国有資産監督管理などの政務サービスについてもブロックチェーンを活用している例があるようです。


2023年2月13日月曜日

2月第2週:①入札保証金負担の軽減、②養老サービスの標準化、③香港・マカオの人材移動

①入札保証金負担の軽減

入札保証金制度の改善に関する通知が出ています。
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2023-02/06/content_5740317.htm
政府投資プロジェクトの入札保証金の減免を奨励するということで、2023年3月末までに各地区で減免に関する制度を出すこととされています。

②養老サービスの標準化

養老・家事代行サービスの標準化に関する方案が国家標準化管理員会、民生部、商務部の連名で発布されています。
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2023-02/08/content_5740634.htm
養老サービスのサービス品質や研修規範などの各種標準を整備して人員の素養とスキルを高めることなどが述べられています。
また、位置情報やビッグデータ、AIなどを用いたスマート養老についての標準も制定・改訂していくとのこと。

③香港・マカオの人材移動

傑出、科学研究、文化教育、衛生保健、法律、その他の6種の内地人材について、香港・マカオとの間でのビザ(厳密には他国との往来のビザとは異なりますが。)の申請に関する公告が出ています。

日本から中国への往来は残念ながら、ビザ発給は再開されたもののビザセンターの予約が常に埋まっていて予約が取れず、航空便も少ないような状況ですので、早く便利になって欲しいものだと思います。


2023年2月6日月曜日

2月第1週:①老舗屋号(老字号)の管理、②公共車両の電動化、③本土と香港・マカオとの往来の全面回復

①老舗屋号(老字号)の管理

老舗屋号(老字号)の管理に関する新しい弁法が商務部等5部門から出ています。
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2023-02/01/content_5739600.htm
ブランド創立から50年以上、事業継続30年以上などの条件を満たした企業が登録され、老舗屋号としての表示を付すことなどが認められています。
とかく新しいものに目が行きがちな昨今ですが、時間と実績はおカネでは買えない、新興企業がキャッチアップできないものですので、そういった価値に目が向く傾向もあるかと思います。

②公共車両の電動化

公共分野の車両(公務車両、都市交通、タクシー、環境、郵便、都市物流など)について、2023年~2025年を試行期間として、電動化を推し進める通知が出ています。http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2023-02/03/content_5739955.htm
都市交通分野における新規・更新車両における新エネルギー車両の比率を高めること、公共充電スタンドの整備などが述べられています。

③本土と香港・マカオとの往来の全面回復

中国内地と香港・マカオとの往来について、新しい通知が出ていました。
出入国・通関の予約制を廃止して、通関・人数の上限を設けないこと(一)、7日以内に他の国・地域への往来歴がなければ、事前のPCR検査での陰性証明を不要とすること(二)などの内容です。



2023年1月29日日曜日

2023年1月21日土曜日

1月第2週、第3週:①国家標準の外国語版計画、②工業情報化分野データ安全管理弁法(試行)(12月分)、③外商投資R&Dセンターの奨励

春節休暇前の繁忙により更新が追いつかなかったため、2週間ぶりの更新となります。
次週は春節休暇ですのでお休みいたします。

①国家標準の外国語版計画

国家標準化管理委員会から、各種の国家基準の外国語版計画が公表されています。
脱炭素関連のものは以前にご紹介しましたが、今回は各方面にかかわる360項目ということで、機械、自動車、ロボット、さらには衣服、食品、建材など、幅広い分野の国家標準を外国語にしていく計画となっています。
360項目のうち、346項目が英語ですが、日本語版も4項目予定されているようです。

②工業情報化分野データ安全管理弁法(試行)(12月分)

こちらは12月に出ていたのですが、ご案内できていなかったので、1ヶ月遅れてのご紹介となります。
2021年9月の《データ安全法》施行直後から意見募集が行われていたものですが、2度の意見募集を経て正式発布となりました。
各企業において自社内のデータを整理し、重要データ・核心データを識別のうえ、それを目録として各地の業種主管部門に提出することを求めるなど、比較的重要な内容が含まれています。

③外商投資R&Dセンターの奨励

外商投資の研究開発センター設立の奨励についての通知が出ています。
総論としては産学連携や金融支援など、各論では「研究開発データの国境を跨ぐ流動を支持」「知的財産の対外譲渡及び技術輸出入管理の改善」という項目が挙げられています。




2023年1月10日火曜日

1月第1週:①対外貿易経営者届出の廃止、②入国する外国人に関する措置、③小規模納税人の減免税に関する公告

①対外貿易経営者届出の廃止

《対外貿易法》第9条を削除します、という改正決定が年末に出ていました。
第9条というのは、対外貿易経営者の備案登記手続についての条文ですので、この備案制度は廃止になるようです。
中国企業の英語社名の確認のためにこの備案登記表を確認していたところ、今後は英文名称はどの書類で確認するのか気になりました。

②入国する外国人に関する措置

本日(1月10日)一部報道で、中国が日本と韓国でのビザ発給を暫定的に停止したとの情報が出ていました。先ほど在中国日本大使館のお知らせにも掲載されていることが確認できました。
日本の水際規制(1月8日から中国からの入国時にPCR検査証明書の提示を求める。下記URL参照)に対応して中国側でも日本からの入国にPCR検査証明書が必要になることは予想していましたが、それを超えてもしビザ発給そのものが停止されるとすれば、対等な措置というよりは「倍返し」のようにも思えます。

③小規模納税人の減免税に関する公告

月の売上が10万元に満たないような零細事業者については増値税が免税になるなど、2023年の小規模納税人に関する減免税の処理に関する公告が出ていました。
小規模納税人が減免税を放棄して増値税専用発票を発行することもできること等の説明もあります。

2023年1月4日水曜日

12月後半分:①第35&36号指導性案例、②雇用安定に関する最高人民法院の意見、③データをめぐる制度の整備

新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

今年の年末はお休みの方々が多かったからか、静かにお正月を迎えました。
業務多忙により更新を怠っていましたが、12月後半の2週間分をご紹介しておきます。

①第35&36号指導性案例

最高人民法院から第35号と第36号の指導性案例が相次いで公表されました。
第35号はいずれも個人情報の侵害に関する刑事事件のもので、スマホ内部に保存された写真を窃取するアプリやSNSアカウント情報の不正利用などの行為が処罰されています。
第36号は仲裁に関するもので、持分譲渡契約における仲裁条項の成立過程をめぐる紛争に関する事案や、仮想通貨(ビットコイン)の引渡しをめぐる仲裁裁決を取り消した事案などが紹介されています。

②雇用安定に関する最高人民法院の意見

同じく最高人民法院から、雇用安定に関する意見も発布されています。
https://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-384301.html
労働紛争案件の審理において、賃金や労働時間の調整、会社都合での交代休業や職場研修などの雇用安定措置を積極的にリードする方針が示されています。

③データをめぐる制度の整備

中共中央 国務院から、データ基礎制度構築などに関する意見が出ています。
http://www.gov.cn/zhengce/2022-12/19/content_5732695.htm
このうち、国境を跨ぐデータ流通については、越境EC、越境決済、サプライチェーン管理、サービスアウトソーシングといった4つの場面を典型的場面の例示として挙げて、データの越境流動方式を模索していくとされています。


2022年12月27日火曜日

2022年12月19日月曜日

11月第2週:①重大・特大事件のファイリング、②生産安全刑事事件に関する司法解釈、③ディープフェイク(深度合成)

①重大・特大事件のファイリング

中共中央弁公庁、国務院弁公庁から、自然災害、事故災害、公共衛生事件、社会安全事件などの突発的事件に関する保存する価値のある歴史的記録についての通達が出ています。
事件についての対応や事後の回復などの各段階での記録を残し、政府機関内部で部門・レベルを跨いで共有することで活用を図っていくようです。

②生産安全刑事事件に関する司法解釈

最高人民法院、最高人民検察院から、生産安全刑事事件に関する司法解釈が出ました。
実務において問題がよく見られる、安全評価機関による証明文書発行に関する処罰などの規定が追加されたとのこと。
なお、「重大事故リスク」や「危険物品」に関する判断について司法鑑定を行うことなども規定されています。生産安全については国家基準・業界基準などが細かく規定していますので、このような基準も参照しておく必要があると思います。

③ディープフェイク(深度合成)

インターネットにおけるいわゆるディープフェイク(AIを使ったニセの動画や音声など)についての管理規定が出ました。
加工された動画などについて実際のものと混同されてしまうおそれがある場合には、目立つように、加工されたものであることを示す表示が必要であることなどが規定されています。
日本でも報道されていますが、音声や顔を加工して別人になりすますなど新型詐欺に使われることも多いようですので、今後さらに留意しておくべき分野かと思います。

2022年12月13日火曜日

12月第1週: ①「銀行」という表示の使用、②AI(人工知能)の司法における活用(英語併記)、③新型コロナウイルス対応に関する一連の規制緩和

①「銀行」という表示の使用

銀保監会ほか4部門から共同で、「銀行」という語句の使用についての通知が出ています。
銀行でない個人や会社が「銀行」を名乗ってはいけないことは当然ですが、それ以外に、「商品名」やサービス名称、さらにはアプリの名称などでの「銀行」という語句を用いた表示も、銀保監会の認可が必要になります。

②AI(人工知能)の司法における活用(英語併記)

最高人民法院から、人工知能(AI)の活用についての新しい意見が出ています。
証拠の審査、法令や類似案件の調査、裁判文書の作成など、全過程においてAIを活用するとなっています。
訴訟関連文書の送達や訴訟記録の作成、執行対象財産の調査などの事務作業の面でもAIを活用すること、さらには、偏向的な判決に関する事前警告など、クリーンな司法活動を守るためにも活用されるようです。
なお、この意見については、なぜか英語版も同時に併記されています。

③新型コロナウイルス対応に関する一連の規制緩和

日本でも報道されているように、中国国内での新型コロナ対応について規制緩和に関する通達が多数出ています。
中国のCDC(疾病予防制御センター)のほか、交通運輸部や文化観光部などの各部門でも新たな通知が出されています。
逐一のご紹介は省略しますが、来年は行動制限や移動制限が緩和されてくることが期待できるように思っています。


2022年12月5日月曜日

11月第5週:①個人情報保護認証マーク、②知的財産権運営プラットフォーム、③高齢者施設の非法集資の防止

①個人情報保護認証マーク

中国の個人情報保護認証に関する新しい規則が出て、認証マークが決められました。
この認証マークは2種類あり、国境を跨がない活動の場合と跨ぐ活動の場合で分けられています。国境を跨ぐ場合の認証マークを取得することで、《個人情報保護法》第38条に定める条件のうち一つを満たすことになると考えられます。
マークのPIPは個人情報処理(Personal Information Processing)の頭文字と思われます。
GB/T 35273《情報安全技術 個人情報安全規範》の条件を満たすことが、とても重要になってきそうです。

②知的財産権運営プラットフォーム

中国では知的財産権の取引や、科学技術成果の事業化、さらには知的財産権を活用した資金調達などのためのプラットフォームの構築が進められており、これについての新しい通知が国家知的財産権局から出ています。
名称について「国家知识产权运营(地名)交易服务/金融服务/特色服务平台」というような名称に統一するなど、各地方のものと国家レベルのものに分けて整備されていくとのこと。

③高齢者施設の非法集資の防止

民政部、公安部、市場監督管理総局、銀保監会の4部門連合で、高齢者施設における違法な資金集めの防止に関する新しい意見が出ています。
各地の民政部門において、赤色、橙色、黄色、緑色という分かりやすい4段階の等級を付けるなどの措置が挙げられています。


2022年11月28日月曜日

11月第4週:①商業為替手形の手形割引等に関する規則、②越境EC総合試験区の追加、③特許製品備案(届出)の条件及びフロー

①商業為替手形の手形割引等に関する規則

中国人民銀行から商業為替手形の引受・割引・再割引に関する管理弁法が出ています。
http://www.cbirc.gov.cn/cn/view/pages/ItemDetail.html?docId=1082286&itemId=928
現行の規定は1997年のものだったそうで、電子手形に関する規定などが追加されました。
中国で使われている手形はほとんどが約束手形ではなく為替手形ですので、実務にも影響がありそうです。特に、振出人と手形所持人との間の真実の取引関係についての審査を強化することが規定されている点は気になります。
また、為替手形の引受を行う銀行側でのリスク制御や、手形の引受・割引の際の情報開示などについても規定されています。

②越境EC総合試験区の追加

33の地域で新たに越境電子商務総合試験区の設置が認可されました。
中国への小売輸入だけでなく、中国からの輸出もありますし、越境ECに関する企業対企業(B2B)方式の各段階での技術標準などに関する記載もあります。

③特許製品備案(届出)の条件及びフロー

国家知的財産権局から、「特許製品備案」業務についての通知が出ています。
「特許製品備案」、企業にとっては届出証明を取得することで消費者の意思決定の参考に供することができ、また技術的先進性や特許市場での有効性の証明として各種政策支援を得るために用いることもできるとされています。
メーカーのみならず特許対象品を販売する企業も、権利者のみならずライセンシーの企業も、この届出の主体となることができるようです。

2022年11月22日火曜日

11月第3週:①反独占・反不正競争の典型案例、②「備案」(届出)管理の規範化、③渉外民商事事件の管轄

①反独占・反不正競争の典型案例

反独占法や反不正競争法に関する訴訟事件の十大典型事例が紹介されています。
反独占法の事例については、横方向(競争事業者間)の合意に関するものが多いようですが、縦方向(取引の相手方との間)での事例もあります。
反不正競争法の事例の方は多種多様です。「大衆点評」という「口コミサイト」のレビューについて、消費者が「いいね」や「お気に入り」、「高評価」をすると報酬がもらえるアプリがあるようで、これを利用して事実と異なるデータが掲載されたことについて不正競争と認定した事例などが紹介されています。
なお、独占行為に関する民事紛争についての司法解釈の改正についての意見募集も行われています。


②「備案」(届出)管理の規範化

「備案」(届出)の取扱いについて、河北省、浙江省、湖北省の3つの省で改革試行の活動が行われており、その経験を各省に共有する通知が出ています。
http://www.gov.cn/zhengce/content/2022-11/18/content_5727708.htm
市場参入の隠れた障壁を除去し、市場主体の活力を刺激することを目的とした活動です。「備案」の対象となっている事項について、行政機関の審査・同意を特定の活動のための条件としてはならないこと、電子営業許可証のデータベース等のルートで取得できる情報について行政備案を設定してはならないことなどが記載されています。

③渉外民商事事件の管轄

渉外民事・商事事件の管轄についての新しい規定が出ていました。
北京、天津、上海など9つの省・市では訴訟の対象額が4000万元以上の場合に一審の管轄が中級人民法院となり、その他の地域では2000万元以上が基準となります。
それぞれの地域の高級人民法院が渉外案件を扱う基層人民法院を指定していることもあり、渉外事件は管轄が通常の中国国内の訴訟と少し違いますので、ご留意ください。