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2月14日の中国会社法改正セミナー:セミナー資料の目次(予定)

中国の会社法改正について、2月14日にオンラインセミナーでお話させていただく予定になっていますので、そのセミナー資料の目次をご紹介します。 下記は現時点で手元に用意してある資料案によるものですが、当日は時間の関係で全部はお話できない可能性がありますので、その点はどうぞご容赦くださ...

2022年12月27日火曜日

2022年12月19日月曜日

11月第2週:①重大・特大事件のファイリング、②生産安全刑事事件に関する司法解釈、③ディープフェイク(深度合成)

①重大・特大事件のファイリング

中共中央弁公庁、国務院弁公庁から、自然災害、事故災害、公共衛生事件、社会安全事件などの突発的事件に関する保存する価値のある歴史的記録についての通達が出ています。
事件についての対応や事後の回復などの各段階での記録を残し、政府機関内部で部門・レベルを跨いで共有することで活用を図っていくようです。

②生産安全刑事事件に関する司法解釈

最高人民法院、最高人民検察院から、生産安全刑事事件に関する司法解釈が出ました。
実務において問題がよく見られる、安全評価機関による証明文書発行に関する処罰などの規定が追加されたとのこと。
なお、「重大事故リスク」や「危険物品」に関する判断について司法鑑定を行うことなども規定されています。生産安全については国家基準・業界基準などが細かく規定していますので、このような基準も参照しておく必要があると思います。

③ディープフェイク(深度合成)

インターネットにおけるいわゆるディープフェイク(AIを使ったニセの動画や音声など)についての管理規定が出ました。
加工された動画などについて実際のものと混同されてしまうおそれがある場合には、目立つように、加工されたものであることを示す表示が必要であることなどが規定されています。
日本でも報道されていますが、音声や顔を加工して別人になりすますなど新型詐欺に使われることも多いようですので、今後さらに留意しておくべき分野かと思います。

2022年12月13日火曜日

12月第1週: ①「銀行」という表示の使用、②AI(人工知能)の司法における活用(英語併記)、③新型コロナウイルス対応に関する一連の規制緩和

①「銀行」という表示の使用

銀保監会ほか4部門から共同で、「銀行」という語句の使用についての通知が出ています。
銀行でない個人や会社が「銀行」を名乗ってはいけないことは当然ですが、それ以外に、「商品名」やサービス名称、さらにはアプリの名称などでの「銀行」という語句を用いた表示も、銀保監会の認可が必要になります。

②AI(人工知能)の司法における活用(英語併記)

最高人民法院から、人工知能(AI)の活用についての新しい意見が出ています。
証拠の審査、法令や類似案件の調査、裁判文書の作成など、全過程においてAIを活用するとなっています。
訴訟関連文書の送達や訴訟記録の作成、執行対象財産の調査などの事務作業の面でもAIを活用すること、さらには、偏向的な判決に関する事前警告など、クリーンな司法活動を守るためにも活用されるようです。
なお、この意見については、なぜか英語版も同時に併記されています。

③新型コロナウイルス対応に関する一連の規制緩和

日本でも報道されているように、中国国内での新型コロナ対応について規制緩和に関する通達が多数出ています。
中国のCDC(疾病予防制御センター)のほか、交通運輸部や文化観光部などの各部門でも新たな通知が出されています。
逐一のご紹介は省略しますが、来年は行動制限や移動制限が緩和されてくることが期待できるように思っています。


2022年12月5日月曜日

11月第5週:①個人情報保護認証マーク、②知的財産権運営プラットフォーム、③高齢者施設の非法集資の防止

①個人情報保護認証マーク

中国の個人情報保護認証に関する新しい規則が出て、認証マークが決められました。
この認証マークは2種類あり、国境を跨がない活動の場合と跨ぐ活動の場合で分けられています。国境を跨ぐ場合の認証マークを取得することで、《個人情報保護法》第38条に定める条件のうち一つを満たすことになると考えられます。
マークのPIPは個人情報処理(Personal Information Processing)の頭文字と思われます。
GB/T 35273《情報安全技術 個人情報安全規範》の条件を満たすことが、とても重要になってきそうです。

②知的財産権運営プラットフォーム

中国では知的財産権の取引や、科学技術成果の事業化、さらには知的財産権を活用した資金調達などのためのプラットフォームの構築が進められており、これについての新しい通知が国家知的財産権局から出ています。
名称について「国家知识产权运营(地名)交易服务/金融服务/特色服务平台」というような名称に統一するなど、各地方のものと国家レベルのものに分けて整備されていくとのこと。

③高齢者施設の非法集資の防止

民政部、公安部、市場監督管理総局、銀保監会の4部門連合で、高齢者施設における違法な資金集めの防止に関する新しい意見が出ています。
各地の民政部門において、赤色、橙色、黄色、緑色という分かりやすい4段階の等級を付けるなどの措置が挙げられています。


2022年11月28日月曜日

11月第4週:①商業為替手形の手形割引等に関する規則、②越境EC総合試験区の追加、③特許製品備案(届出)の条件及びフロー

①商業為替手形の手形割引等に関する規則

中国人民銀行から商業為替手形の引受・割引・再割引に関する管理弁法が出ています。
http://www.cbirc.gov.cn/cn/view/pages/ItemDetail.html?docId=1082286&itemId=928
現行の規定は1997年のものだったそうで、電子手形に関する規定などが追加されました。
中国で使われている手形はほとんどが約束手形ではなく為替手形ですので、実務にも影響がありそうです。特に、振出人と手形所持人との間の真実の取引関係についての審査を強化することが規定されている点は気になります。
また、為替手形の引受を行う銀行側でのリスク制御や、手形の引受・割引の際の情報開示などについても規定されています。

②越境EC総合試験区の追加

33の地域で新たに越境電子商務総合試験区の設置が認可されました。
中国への小売輸入だけでなく、中国からの輸出もありますし、越境ECに関する企業対企業(B2B)方式の各段階での技術標準などに関する記載もあります。

③特許製品備案(届出)の条件及びフロー

国家知的財産権局から、「特許製品備案」業務についての通知が出ています。
「特許製品備案」、企業にとっては届出証明を取得することで消費者の意思決定の参考に供することができ、また技術的先進性や特許市場での有効性の証明として各種政策支援を得るために用いることもできるとされています。
メーカーのみならず特許対象品を販売する企業も、権利者のみならずライセンシーの企業も、この届出の主体となることができるようです。

2022年11月22日火曜日

11月第3週:①反独占・反不正競争の典型案例、②「備案」(届出)管理の規範化、③渉外民商事事件の管轄

①反独占・反不正競争の典型案例

反独占法や反不正競争法に関する訴訟事件の十大典型事例が紹介されています。
反独占法の事例については、横方向(競争事業者間)の合意に関するものが多いようですが、縦方向(取引の相手方との間)での事例もあります。
反不正競争法の事例の方は多種多様です。「大衆点評」という「口コミサイト」のレビューについて、消費者が「いいね」や「お気に入り」、「高評価」をすると報酬がもらえるアプリがあるようで、これを利用して事実と異なるデータが掲載されたことについて不正競争と認定した事例などが紹介されています。
なお、独占行為に関する民事紛争についての司法解釈の改正についての意見募集も行われています。


②「備案」(届出)管理の規範化

「備案」(届出)の取扱いについて、河北省、浙江省、湖北省の3つの省で改革試行の活動が行われており、その経験を各省に共有する通知が出ています。
http://www.gov.cn/zhengce/content/2022-11/18/content_5727708.htm
市場参入の隠れた障壁を除去し、市場主体の活力を刺激することを目的とした活動です。「備案」の対象となっている事項について、行政機関の審査・同意を特定の活動のための条件としてはならないこと、電子営業許可証のデータベース等のルートで取得できる情報について行政備案を設定してはならないことなどが記載されています。

③渉外民商事事件の管轄

渉外民事・商事事件の管轄についての新しい規定が出ていました。
北京、天津、上海など9つの省・市では訴訟の対象額が4000万元以上の場合に一審の管轄が中級人民法院となり、その他の地域では2000万元以上が基準となります。
それぞれの地域の高級人民法院が渉外案件を扱う基層人民法院を指定していることもあり、渉外事件は管轄が通常の中国国内の訴訟と少し違いますので、ご留意ください。


2022年11月15日火曜日

11月第2週:①流行防止措置の改善、②中小企業のDX指南、③条約締結管理弁法

①流行防止措置の改善

新型コロナウイルスの流行防止措置の改善について、20ヶ条からなる新たな通知が出ています。
http://www.gov.cn/xinwen/2022-11/11/content_5726144.htm
濃厚接触者についての「7日間の集中隔離+3日間の自宅観察」を「5日間の集中隔離+3日間の自宅隔離」に変更、リスク地区管理を「高中低」の3段階から2段階に変更などの内容です。
入国者の隔離措置も同様に「5+3」へと期間が短縮され且つ目的地での重複隔離は不要、重要なビジネス入国者やスポーツチームなど隔離免除者は「閉鎖管理区」内での滞在など、入国者に関する項目もいくつかあります。
閉鎖環境での業務を完了した後の高リスク職位人員については、「7日間の集中隔離+7日間の自宅隔離」から「5日間の自宅観察」となるようです。

②中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)指南

DXは世界的な趨勢であるということで、工業情報化部から中小企業のDXに関する指南が出されています。
中小企業のDXは単独ではなく各社との連携が大切ということで、中小企業だけでなく、中小企業向けにサービスを提供するプラットフォーム企業、それに地方政府へと向けた内容も含まれています。
また、最後に用語解説がついており、CAD(コンピュータ支援設計)やMES(製造実行システム)などの用語が掲載されています。

③条約締結管理弁法

他国との条約締結については以前から《条約締結手続法》という法律がありますが、これに基づき、《条約締結管理弁法》という新たな法令が国務院から出ています。
http://www.gov.cn/zhengce/content/2022-11/07/content_5725135.htm
外交・国防事務にかかわる条約や中華人民共和国の全「領土」に適用すべき性質の条約については香港・マカオの特別行政区の意見も聞いたうえで加入・批准することなど、一国二制度の中国独特のルールも規定されています。


2022年11月7日月曜日

11月第1週:①女性権益保障法の改正、②外商投資奨励産業目録2022年版、③ビジネス環境革新の全国展開

①女性権益保障法の改正

女性権益保障法が改正されました。
男女の雇用待遇の平等、結婚・妊娠等の事由による労働契約終了の禁止など、人事労務の分野でも見る機会の比較的多い法律です。今回の改正ではこの部分もさらに詳しく規定されているようで、雇用者である企業のセクハラの防止措置措置を講じる義務についても細かく列挙されています(第25条)。
また、今回の改正では、交際を口実に又は交際・離婚の終了後にして女性につきまとうことやプライバシー・個人情報を漏洩することの禁止(第29条)、離婚時における証拠収集困難がある場合の裁判所や政府関係部門などによる協力(第67条)などの新たな内容も追加されています。

②外商投資奨励産業目録2022年版

外商投資奨励産業目録が改正されました。
商務部のリリースでは、2020年版に比べて239項目の追加、167項目の修正があったこと、製造業を引き続き外商投資を奨励する重点方向とすることなどが紹介されています。
http://www.mofcom.gov.cn/article/xwfb/xwrcxw/202210/20221003363087.shtml

③ビジネス環境革新の全国展開

ビジネス環境の革新・改革について各地で試行されている中から、その経験を全国に展開していくことが推進されています。
企業の設立・変更手続が一括で行える仕組みなどを全国に普及させていくとのことです。
なお、9月にも北京・上海での試行内容を全国に展開していくことに関する通知が出ていました。


2022年10月31日月曜日

10月第4週:①製造業を重点とする外資利用拡大政策、②知的財産権による「専精特新」中小企業の発展、③全国一体化政務ビッグデータ体系の建設指南

①製造業を重点とする外資利用拡大政策

国家発改委、商務部など6部門から、外資利用拡大に関する若干の政策措置が公表されました。
7番目の項目として、「新型コロナウイルス流行拡大防止を前提としたうえで」多国籍企業・外資系企業の高級管理者、技術者及びその家族の入国の利便性を高めることが挙げられています。
9番目の項目では条件に適合する外資系企業の上場を支援することが挙げられています。また、3番目の項目として、外資プロジェクトに関する用地、環境、物流、人員の出入国などの面でのサービスの保障を強化することと合わせて、重大・重点外資プロジェクトの実施を推進する方針が示されるなど、製造業の外資系企業に関係しそうな項目が含まれています。

②知的財産権による「専精特新」中小企業の発展

国家知的財産権局と工業情報化部の連名で、知的財産による「専精特新」(専業、精密、特色、新規)中小企業の発展を促進する通知が出ています。
各地方が少なくとも年一回は「専精特新」中小企業向けの講習を行うこと、ISO56005の国際規格の実施を推進することなどが挙げられています。

③全国一体化政務ビッグデータ体系の建設指南

中国の各地方の有するデータの共通化・共有化が進められています。
全国一体化政務データ共有ハブには1.35万件のデータ資源が共有されており、のべ4000億回を超える利用があるとのこと。
とりわけ新型コロナウイルスの感染拡大防止においては、各地区からのデータ共有のニーズに応じる必要があり、地区・部門・レベルを超えた相互共有が行われ、31省(自治区・直轄市)で健康コードやPCR検査、ワクチン接種、隔離措置などに関するデータの利用がのべ3000億回を超えているとのこと。
ただ、各地でデータを重複して収集している、政務データの品質(網羅性、正確性、適時性)向上が必要であることなど課題も多いようです。
2023年末、2025年末を目標として、政務データ資源を目録管理に組み入れていくこととされています。
後半にいくつか図が掲載されており、これらの図が全体像を分かりやすく示しているように思います。
また、「可用不可見」ということで、身分認証やサンドボックスなど技術的手段によってデータ開放を進めることも記載され、市民生活に密接に関連し、社会の需要が切迫しており、業界の潜在力が顕著な政務データを優先して開放していくとのことです。


2022年10月24日月曜日

10月第3週:①国家統計局発表の経済指標、②第20回共産党大会で

①国家統計局発表の経済指標

GDPの発表が遅れたことが日本では少し報道等でも取り上げられていましたが、統計局から第3四半期の経済統計が発表されていました。
やはり今年4月頃が最も落ち込みが大きかった時期であることが分かりやすく見て取れるような統計になっているように思います。

②第20回共産党大会で

先週は共産党大会があったせいか、あまり新法令に関する情報は見かけませんでした。
人事の変動に伴って各分野でこれまで示された方針とは異なる動きが出てくるかもしれませんので、少し気をつけて見ておきたいと思います。


2022年10月17日月曜日

10月第2週:①財務不正に関する財政部の通知、②CCC認証に関する規定の改正、③食品関連製品の品質安全監督管理暫定弁法、④賃料減免措置の継続

①財務不正に関する財政部の通知

各地方の財政局と各会計士協会、会計事務所に対して、監査の重点分野における財務不正の識別、監査リスクの抑制に関する通達が出ています。中国子会社の管理や内部監査に関わっておられる方々にもご参考になるかと思います。
中国語「舞弊」は何らかの事柄を偽って不当な利益を得る行為を広く指す言葉で、企業の内部での横領・背任行為を指す言葉として使われることもありますが、今回は「財務舞弊」ということで、財務諸表における各種の不正会計を対象として、会計事務所における注意力の向上を求める内容となっています。
別紙においては、「財務不正が起こりやすい分野及び重点対応措置」が列挙されています。このうちには、貨幣資金の過大計上や大株主による資金流用、建設仮勘定の不一致、貸倒引当金やその他資産の「減値」(会計上の減損)など、過去において比較的大きな事件になって注目されたことが思い起こされるような、典型的な不正会計の項目が並んでいます。また、売上などの収入の計上時期の操作や、中国国外における事業にまつわるリスク(中国にはあまり無い、第三者による代理受領など)、かなり細かく記載されています。
どちらかと言えば、本文よりも、別紙に見るべき内容が多いように思われますので、ご覧になる際には別紙も是非ご覧ください。

②CCC認証に関する規定の改正

中国強制的認証(China Compulsory Certification。略称「CCC」)に関する規定の改正がありました。
https://gkml.samr.gov.cn/nsjg/fgs/202210/t20221008_350551.html
といっても、内容が実質的に変わったものではなく、行政機関の組織機構改革に伴う担当部門の変更などを反映したにとどまるようです。
また、スピーカーやデータ端末など、リスクが比較的低く技術的に成熟している9種の電子・電器製品について、CCC認証の対象範囲から除外する旨の公告も出ていました。
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2022-10/12/content_5717772.htm

③食品関連製品の品質安全監督管理暫定弁法

食品関連製品の品質管理に関する新しい弁法が、《食品安全法》《製品品質法》の下位規定として発布されています。
https://gkml.samr.gov.cn/nsjg/fgs/202209/t20220930_350531.html
ここでいう「食品関連製品」とは、食品そのものではなくて、食品に使われる包装材、容器、洗浄剤、消毒剤と、食品生産に使われる工具、設備のことです。
これらの物品を中国国内で製造、販売するときには、「食品接触用」「食品包装用」などの標記を付す必要があるなど、食品に準じた規制が適用されます。

④家賃減免措置の継続

国有資産監督管理委員会から中央及び地方の国有企業に対して、中小零細事業者向けの賃料減免業務の継続に関する通達が出ています。
中小零細事業者に対する3ヶ月分の賃料減免のほかに、養老・託児、飲食、宿泊などの業界では別途の賃料減免措置もあるようで、減免措置の適用漏れがないようにチェックするようです。


2022年10月10日月曜日

10月第1週: ①行政サービスの省を跨ぐ統一処理(跨省通办)、②行政サービスのワンストップ化推進(一件事一次办)、③税務行政許可事項リスト(2022年版)

①行政サービスの省を跨ぐ統一処理(跨省通办)

22項目の行政サービスについて新たに省を跨ぐ統一処理を求める意見が出ています。
来年6月末までに事項名称や必要書類などを全国で統一する予定とされています。
従業員の雇用関係でよく問題になる、社会保険や住宅積立金についての手続もこの22項目のリストに含まれていますので、人事労務管理の実務を担当している方々には影響がありそうです。
また、フリーランスや非正規雇用の方々の社会保険の手続についてもリストに含まれていますので、多様な雇用形態を支える周辺制度の整備という意味合いもあるように思われます。

②行政サービスのワンストップ化推進(一件事一次办)

企業や個人の行政手続の負担を低減しようということで、企業の設立から抹消まで、個人の出生から死後まで、一つの事項については一つの場所、一つの窓口で、一回の手続で完了できるようにするようにという指導意見が出ています。
私も北京の事務所を設立したときに自分で各政府部門に手続に行きましたが、縦割り行政で各政府部門に行かなければならない手間は日本も中国も同じだなと感じていました。
また、必要な資料を後で追加で要求されることで何度も足を運ばなければならないなど、行政手続の負担は諸々あります。
これらを2025年末までに簡素化していく予定のようです。

③税務行政許可事項リスト(2022年版)

税務行政許可事項リスト(2022年版)が公表されています。
以前は6つあった行政許可事項が、行政の簡素化で撤廃されていき、今回は一つだけが残ったという内容になっています。

2022年10月3日月曜日

9月第4週:①増値税の控除未済にかかる税還付(留抵退税)をめぐる取締、②個人の住宅買い替え減税、③ネットワーク安全法改正の意見募集

①増値税の控除未済にかかる税還付(留抵退税)をめぐる取締

新たな法令が出たわけではありませんが、よく目にする話題としてご紹介いたします。
今年に入ってから、増値税の控除未済にかかる税還付をめぐる取締が強化されており、各地の税務局が競うように取締の実績を公表しています。
9月29日の新聞発表会(下記記事の六、部分)でも、引き続き重点的に取締を行っていることが紹介されています。
もともと今年に入って4月1日から、財政部/税務総局公告第14号などにより控除未済にかかる税還付(「留抵退税」。仕入税額控除ができていない分の増値税を還付する税制優遇政策)が推進されており、企業の資金繰りを支援するものとして大きく宣伝されていたのですが、その一方で、虚偽の申告をしてそのような税還付を騙取する犯罪行為を厳しく取り締まる旨の6部門連合での通知(税総稽査発〔2022〕42号)も出ていました。

日本でもコロナ禍で持続化給付金など補助金が支給されたとき、これに関する不正受給も起きていましたが、どこの国でも同じようなことがあるのだなと思います。
このような取締強化の活動によって、還付を受けた企業が後に税務局による調査を受ける場面も出てきています。不正に還付を受けておらずとも、何らかの嫌疑により調査を受けること自体、企業活動に影響がありますので、還付を受けた後はその後の調査が来たときもすぐに説明ができるように、少しの資料と心の準備は無いよりはある方がよさそうです。

②個人の住宅買い替え減税

企業の業務にはあまり関係ありませんが、中国経済の見通しや中国の方々による日本の不動産取得には少し影響するかもしれないと思いましたので、ご紹介します。
2022年10月1日から2023年12月31日までの間に、自己所有の住宅を売却して1年のうちに新しい住宅を購入した場合、既に納税した個人所得税が還付されるという減税政策が出ました。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n363/c5181858/content.html
同一都市内での買い替えのみが対象であり、また新たに購入する住宅と旧住宅売却時の納税者が直接に関係していなければならないという条件があります。
(買い替えの機会に子どもの名義にするときにも適用できるのでしょうか。)

③ネットワーク安全法改正の意見募集

ネットワーク安全法の改正についての意見募集が出ています。
http://www.cac.gov.cn/2022-09/14/c_1664781649609823.htm
概ね、罰則規定について処罰の種類と幅を調整する内容のようですが、一つ気になる条文案がありました。
第70条(国の安全を損なう情報、暴力的・色情的な情報、虚偽の情報などの発信・伝達に関する処罰)について、「法律、行政法規に規定がない場合」に関係主管部門が是正命令や警告、批判通知、違法所得没収といった処罰をするという新しい規定を追加するようです。
もともとの「第12条第2項並びにその他の法律及び行政法規により頒布又は伝送が禁止される情報を頒布し、又は伝送した場合」という規定自体、その他の法律・行政法規が何かが分かりにくいのですが、どのような行為が処罰対象となるのか分かりやすくなることを期待したいと思います。

2022年9月26日月曜日

9月第3週:①中央企業と紛らわしい企業リスト、②国家基準管理弁法改正(国家基準の外国語版と版権・著作権)、③クレジットカードの貸し借りに関する注意喚起

①中央企業と紛らわしい企業リスト

国有資産監督管理委員会から、中央企業(中央政府が監督管理する国有企業)と紛らわしい名前の企業があるということで、そのような企業のリストが公表されていました。
今回のものは第二弾だそうで、第一弾は去年10月に出ていました。
これらのリストに掲載されている会社、社名に「中鉄」や「中建」などの文字が入っていて見た目は中央の国有企業の傘下のグループ企業のように見えるのですが、実は投資関係も提携関係もないそうです。
以前は中国は会社名称の審査が厳しかったですが、今はこのような紛らわしい社名でも登記・登録できてしまうようで、規制の変化の表れでもあるかと思います。

②国家基準管理弁法改正(国家基準の外国語版と版権・著作権)

中国の国家基準(GB:国家標準)に関する法令、《国家基準管理弁法》が改正されました。1990年施行以来の改正となります。
《標準化法》も2018年施行のものが1989年の施行以来の改正であったので、こちらも《標準化法》の改正を受けたものと理解してよいものと思います。強制性国家基準については、先に2020年に施行された《強制性国家標準管理弁法》が優先となります。
技術発展の過程にあって、発展を指導する必要がある又は標準化するに値する項目については、国家標準化指導性技術文書(GB/Z)という別の文書で定めることができることなどが定められています。
国家基準とその外国語版について、「版権」(=著作権。《著作権法》第62条)があることも明文で規定されています。国家基準自体に著作権があるので外国語版にもその著作権が及ぶことは当然ではありますが、参照する場合は国家標準化管理委員会のものを参照した方がよさそうです。
 参考1:国家標準化管理委員会の2013年の記事「標準版権管理」
 参考2:国家基準全文公開システム

③クレジットカードの貸し借りに関する注意喚起

銀保監会の消費者権益保護局から、クレジットカードの貸し借りに関する注意喚起が出ていました。
クレジットカードを他人に貸すことは刑法上の詐欺罪などにも該当する可能性があることなど、ごく当たり前の内容ではありますが、これに合わせて、過大な借入や返済のための借入などに関する注意喚起も記載されています。

2022年9月19日月曜日

9月第2週:①科学研究の信用失墜行為、②自動車業界標準必須特許許諾指針(2022年版)、③市場主体の制度性取引コスト低減

①科学研究の信用失墜行為

科学研究における準則及び規範に対する違反があった場合に、「科研失信行為」として処罰する際の調査処理規則が発布されています。
https://www.most.gov.cn/xxgk/xinxifenlei/fdzdgknr/fgzc/gfxwj/gfxwj2022/202209/t20220907_182313.html
他人の研究成果の剽窃や研究データの改ざん、賄賂等の不正な手段による奨励・栄誉の取得などの行為を対象に、学位の取消や一定期間の財政性資金プロジェクトへの参与禁止などの処罰を科すこと、及びその処罰に至るまでの通報や調査などの規則が規定されています。
科学技術活動に従事するにあたっては、科学技術活動管理規範を遵守しなければならず、重大な違反がある場合は科学研究信義誠実重大信用失墜行為データベースに掲載されます(《科学技術進歩法》第107条第2項)。このデータベースへの組入れも処罰の一つとして列挙されています。

②自動車業界標準必須特許許諾指針(2022年版)

中国汽車技術研究中心(CATARC)と中国通信院(CAICT)が共同で、自動車業界の標準必須特許のライセンスに関するガイドライン(2022年版)を公表しています。
「標準必須特許」(SEP:Standard-Essential Patent)とは、日本でも目にする言葉ですが、ある技術標準・規格を実施するときに必ず使用することになる特許のことです。
内容としてはそれほど分厚いものではなく、原則的なルールが書かれているものですが、合理的なロイヤリティの計算のしかたとして、まず必要になる必須特許の全てのライセンスを受けるためのロイヤリティ上限を決めて、そこから実際に必要になる特許の割合を計算して決めるなどの考え方が示されています。

③市場主体の制度性取引コスト低減

国務院弁公庁から、ビジネス環境改善のための各種の取引コスト低減のための意見が出ています。
今年10月末までに市場参入障壁につき隠れた障壁を含めて整理すること、全国版のクロスボーダーサービス貿易のネガティブリストを公表すること、同じく10月末までに工事建設分野の入札等の業務の全過程オンライン処理及びデジタル証書の地区を跨ぐ相互承認を実現することなど、近い将来に各種の制度変更が予定されています。
2022年末までとされている項目も多数あるため、今後、年末にかけて取引に関する制度が変わる部分が多くなってくる見込みです。


2022年9月12日月曜日

9月第1週:①業種協会・商会の改革発展のための連席会議、②5G全連接工場、③ポップアップ情報のプッシュ送信、④中秋節・国慶節期間の省を跨ぐ移動

①業種協会・商会の改革発展のための連席会議

業種協会・商会の改革発展のための、省庁を跨いだ横断的な連席会議が設置されています。
もともと2007年に業種協会・商会の改革発展に関する指導意見が出ており、そこでは政府機関と業種協会・商会の分離という方針が示されていました。
http://www.gov.cn/gongbao/content/2007/content_663678.htm
2015年には、この分離のための工作組(ワーキングチーム)も設置されていましたが、今回はこの従来の工作組を廃止して、連席会議に切り替えるようです。
http://www.gov.cn/gongbao/content/2015/content_2901370.htm
http://www.gov.cn/gongbao/content/2015/content_2909259.htm
メンバーを見比べてみると、招集者となっている国家発展改革員会と民政部からは主任と部長がそれぞれ副主任、副部長となっており、参加する省庁も少し減り、必要に応じて参加する形に変更されています。
より個別の課題に機動的に対応できるように、ということかと思われます。

②5G全連接工場

《5G全連接工場建設指南》という文書が工業情報化部から公表されました。
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2022-09/08/content_5708854.htm
各企業の工場の現場で、スタンドアローンで稼働している機器をネットワーク化していくことをサポートするとのことです。また、5Gによってリアルタイムで収集される膨大なデータの分析・活用のためのAIなどを活用したサービスについても言及されています。
分級分類建設ということで、「5G全連接」と一言でいっても作業場レベル、工場レベルで異なる類型のものであっても良いようです。また、業種ごとに重点項目がリスト化されています。

③ポップアップ情報のプッシュ送信

インターネットのサイトやアプリ、その他のシステムにおいてポップアップ情報をプッシュ送信するサービスに関する新しい管理規定が出ました。
ゴシップ情報(八卦、绯闻)や贅沢の見せびらかしなどの公序良俗に反する内容や、新聞でない「旧聞」を繰り返し送信することは禁止されています。
また、日本でもアフィリエイト広告の規制が話題になっていますが、広告情報については明確に『広告』と表示し、ワンクリックで閉じることができるようにすることなども求められています。

④中秋節・国慶節期間の省を跨ぐ移動

中秋節・国慶節の連休期間について、今年も連休は現地で過ごすことが提唱されています。
http://www.gov.cn/xinwen/2022-09/09/content_5709149.htm
飛行機や高速鉄道に乗るには48時間以内の陰性証明が必要であるほか、(強制ではなく任意で、移動を制限しない原則のもと)到着地での検査を行うことが奨励されています。
期間は9月10日~10月31日と書かれていますので、連休期間の前後も対象のようです。


2022年9月5日月曜日

8月第5週:①データ出国安全評価申請指南、②反電信ネットワーク詐欺法、③公安機関の反組織犯罪業務規定、④違法嫌疑社会組織リスト

①データ出国安全評価申請指南

《データ出国安全評価管理弁法》が9月1日から施行されました。これに合わせて、国家インターネット情報弁公室から、「データ出国安全評価申請指南(第一版)」という文書が公表されています。
申請書類のリストや申請資料の書式も掲載されています。

②反電信ネットワーク詐欺法

電信ネットワークの技術的手段を通じて、リモート・非接触などの方式で公私の財物を詐取する行為に対する各種の対策について横断的に定めた法律が出ました。
対策の根幹をなすユーザーの実名登録制度から始まり、電話の大量発信や自動切換などの機能を持つ機器設備やソフトウェア、プラットフォームなどの提供についても禁止しています。また、金融機関における顧客デューディリジェンスや、ネットに関しても仮想通貨を使ったマネーロンダリングなどの幇助行為を含めて禁止しています。

③公安機関の反組織犯罪業務規定

昨年末に公布され、今年5月1日から施行されている《反組織犯罪法》(中国語「反有组织犯罪法」)に関する業務規定が出ています。
国際協力の部分では詳細な規定は特に置かれていないようですし、全体としても《反組織犯罪法》に関する公安機関における対応を具体化したもので特に目新しいところはなさそうですが、①の電信ネットワーク詐欺に関する規定でも国外における活動についても対象とすることが規定されていますので、機会があればよく見ておこうと思います。

④違法嫌疑社会組織リスト

民政部から、2022年の第2回違法嫌疑社会組織リストが発表されています。
国际信用与能力认证协会(国際信用及び能力認証協会)など、いかにも公的な団体のような名称の社会組織が列挙されています。
参考までに、2022年第1回は以下のとおり、「全国企业联盟发展中心」(全国企業連盟発展センター)といった団体も挙げられていました。
似たような名称でも騙されてしまうことがないように、きちんとご確認ください。

2022年8月29日月曜日

8月第4週:①国産ブランド振興に関する指導意見、②「養老詐欺」犯罪の6種の典型事例、③法律援助手当の免税

①国産ブランド振興に関する指導意見

新時代のブランド建設の推進というテーマで、国家発展改革委員会など7部門からの7月29日付の指導意見が公表されています。
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2022-08/25/content_5706856.htm
2025年までに一群の産業ブランド、地域ブランドを形成するなど初歩的な成果を挙げ、2035年には中国ブランドが世界のブランドの上位に入るようにするという目標を掲げています。
農業・工業・サービスの各分野と地域のブランドについてそれぞれブランド育成を進めるようですが、とりわけ、各企業においてブランドの国際化運営能力を高める、そのために国際的視野とブランド管理の素養を有する企業家や管理人材を育成する、といったことも言及されています。

②「養老詐欺」犯罪の6種の典型事例

最高人民法院では今年4月から、高齢者をターゲットとした各種詐欺犯罪に対して、各種の手口を公開して詐欺犯罪を打撃するための特別活動を展開しています。
今回は、このような高齢者を対象にした「養老」を名目にした詐欺について、6種の典型事例が公表されています。
(一)「養老基地」の優先入居権と毎月1~3%の固定収益をうたい文句にした投資勧誘
(二)高齢者向けマンションの優遇と高額の返戻をうたった投資勧誘
(三)書画・玉石などの買戻保証や値上がり保証をうたった商品販売
(四)高齢者の住宅抵当融資(以房養老)の名目をかたった融資金詐取
(五)養老保険の手続代行やより有利な待遇享受をうたった保険料詐取
(六)健康講座や無料相談活動を通じた保健品の高額販売

③法律援助手当の免税

法律援助機構が弁護士に対して支払う法律援助手当について増値税と個人所得税を免税にする旨の公告が出ていました。
日本の法律扶助のような仕組みが中国にもあるようで、以前からある《法律援助条例》に加えて、今年1月1日から新たに《法律援助法》という法律が施行されています。
労働組合や婦女連合会などが行う法律援助業務についても同様の免税措置が享受できるようです。中国でも法律が身近な話題になってくるのでしょうか。